異世界少女の物語 1話
「よし、こんなもんでいいかな。」
地面に座り込む一人の少女。黒くモサっとした長い髪に、見とれてしまうほど真っ白なワンピース。その姿は、胸元にある錆び付いた古い鍵を目立たせる。
そんな少女のしたにはとても大きな魔法陣らしきものが描かれている。彼女は立ち上がり大きく息を吸い込んだ
「鍵に秘めし魔法の力よ、我が呼び掛けに応じよ、契約に基づき、桜が命ずる。」
桜と名乗るその少女は、そう言って手を横に広げる、すると魔法陣と古い鍵は、とてつもない光を放ちだした
「移動魔法使用、世界No.2」
少女の目の前に現れた大きな扉、少女は古い鍵を扉の鍵穴に差し込む。――ガチャ。大きな光が広がった瞬間、そこに少女の姿はなかった。
光、少女
たくさんの花。とても大切に育てられていることがすぐにわかる。そこには、金髪に翠の瞳を持つ青年がいた。とても綺麗な顔立ちをしてる。きっとほとんどの女性が彼の笑顔に落ちてしまうことだろう。この場所がぴったりで、見とれてしまう男性は彼だけとしか思えない。紅茶を一口飲む。すると、ふわっと花びらが舞った。実に美しい光景だ。そんな時。
「マ・・・マーティンさん!!」
一人の男、いや服装からして兵が正しいな、そんな人が息を切らしながらで走ってきた。
「んだよ!てめぇ!!」
綺麗な見た目とは裏腹に怒りでいっぱいの大声を発する。
彼は、マーティン・ゴールド。一応、イギリスという国の一つ。
「あの・・・。緊急で・・・。」
「緊急・・・?・・・・・・」
少し考えながら、紅茶を一口。
「なんだ。」
マーティンは、結構な性格をしていながら、昔から仕事には熱心だった。
「なんか、女の子がいきなり現れて・・・。」
「・・・は。」
理解できなかった。女の子?現れた?それのどこが国に頼るまでの緊急事態なんだ?と。そんな言葉が、ぐるぐると頭の中を回り続けていた。
「なんだよ・・・これ・・・。」
マーティンは聞かされた。いつもどうり見回りをしていたら、いきなりその場所が光りだした。―――
「なんだ!?」
いきなり、目も開けていられない強い光が広がった。少し弱まって、目を凝らしてみたら、光の中にある少女がいた。
最初は皆、驚いて騒いでいたが、だんだんと落ち着いていった。
「これ、どうすればいいんだ?」
多くの兵が頭を悩ませた。少女を助けるべきか、危険人物として、上に報告したほうがいいのか。そんな中、一人の兵が助けようと前へ出た。手を伸ばし、少女の腕をつかもうとした。
バチッ――。
「っつ!!」
はじき飛ばされた。五メートルぐらいだろうか、男が、少女を囲む光に飛ばされたのだ。
「これ、やばいんじゃないの・・・。」
一人の男が言ったのに続いて、様々な声が上がった。その結果、国を呼ぼうとなったということだった。
「んで、その女の子を助けろ、と・・・。」
困ったな、と小さく呟く。
「やっぱり無理ですかね・・・。」
「いや、出来んこともないが・・・。」
流石に不安がある。だが・・・。
「無理なら結構ですよ!!流石に怖いでしょうし・・・。」
「んなっ・・・!!別に怖くなんか・・・。」
こういう性格なので、怖がりながらもやってしまう。そっと近づき手を伸ばす。ぐっ――。手首を掴んだ。その瞬間。
「うわぁ!!」
少女がマーティンの上に落ちてきた。
「落ちてきたぞ!!女の子を運べ!!」
兵達は一瞬にして慌ただしくなった。が、それはすぐに過ぎ去っていった。そこに残ったのは、兵達の足跡がついたマーティンの姿だけっだった。
異世界少女の物語 1話