さなぎ
さなぎを見つけた ちいさい葉っぱの色
あわれに思って さなぎを摘んだ
さなぎを見つけた 昨日と同じ場所
やっぱり今日も さなぎを摘んだ
さなぎを見つけた 前より大きい
どうしてわかってくれないの さなぎを摘んだ
次の日 生まれてしまった
せっかく今まで摘んできたのに
その透きとおる羽も 緩やかに弧を描く口も
みてほしい人はもう ここにはいないのに
あわれだと 泣く私に 彼女はいう
かわいい人 うまれたのはなんの為か知らないのね
報われなくても 想うことは希望だった
あなたも分かっているでしょう
かわいい人 なかないで
あなたにも羽はあるでしょう
彼女と私はふわりと舞い
そうして
さなぎだけが残った
さなぎ