雲雀の詩
縫いあわせるように、感情を、ほつれたところから、綿みたいにあふれてくるから。ふさいで。だれもしらなかった、夏が、もう、しんでしまったことを。土で眠る、生命だけがわかっていて、でも、ことばをもたぬ彼らは、眠るばかりで。ぼくたちは、電子機器のなかで、電磁波にかこわれて、変化に気づけなくて、いつも、どこかで、遠い国のかなしいできごとは、じぶんにはまったく関係のないことだと思っている。冬の夜のにおいも、わすれた。
雲雀が、つぶやくのだ。
春もそのうち、と。
予言めいたことを、カフェオレを飲み、流星群を眺めながら、どうでもいいことのように。
ぼくは、うとうとしていて、雲雀の声がなんだか、こもりうたのようで、ぼんやりしているあいだに、星はどんどん流れていくし、ぼくのからだをうしろから抱えてくれている、アルビノのくまは、くわぁ、と、ちいさなあくびをしている。アルビノのくまは、そういえば、何代目のアルビノだろう。ときどき、かんがえるけれど、でも、なんでもいいやとすぐに、かんがえるのをやめる。生まれ育った森がなくなって、ぼくらの街にやってきた。世界は、自然のものから消滅して、不自然なものばかりがふえていく。
雲雀の詩