#−1

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幻想重ねて
だまし絵描いて
虚構にデコレート

あの衛星はうちおとされて
今は何千年か先をいってしまった

多分、意味を探すために
これを読んでいるでしょう
出口のない広い世界の中心に
自由を求めて枯渇していく心
そこに君だけの爆心地がある

これを辞書と呼ぶのか
それともその代わりにするのか
君の手の中にある
分厚い聖典のような
荒唐無稽の物語のような
誰にも演奏されなかった楽譜のような

いずれにせよ、君にありったけ
その心に満ちるほどのかなしみが
君をずっとひとりにしてきたのだ

気がおかしくなりそうな晴れた日に
太陽に希望とか絶望とか不条理とか
どうか、なすりつけないでやってくれ。

ずっと孤独に燃え続けていることに
多分意味を見出したくて
たくさんの神を生んだ
たくさんの神話を話した

今、君の後ろにいる影には
太陽のかなしみの片鱗すら
見当たらないじゃないか

空疎な、空虚な、青い空を見て
君は次の電車を待っている
(もしくは次に吹く風を待つ)
君は立ち去りたくて仕方がない
つまらない演劇に巻き込まれて
迷惑そうな顔をしてこれを読む

この語彙ひとつにせめてもの意味を求めて
人類のなんたるかについて自分だけ知りたがる

太陽はそういう輩をたくさん見てきた
たくさん憎まれてたくさん愛されてきた

だから降り注ぐ光を
暴力とも抱擁とも
どうとらえようと

とらえられているのは君自身の問題であって
見つけたいのは君自身の存在意義とか大義とか

そうやって灼熱の下で
祈る真似をして過ごす

君、今日も、お天道様は見ているよ、と、
もしも、
後ろから、誰かに囁かれたのなら、
振り向いてはいけないよ、
決して、
振り向いては、いけないよ、

#−1

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  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-03

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