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 肉。刻まれていた、もの。うまれたときから、あった。陰鬱なようでいて、けれど、まるで救えない絶望感は皆無で。一生のうちに、一度はかならず、苛むように仕組まれた細胞的な。なにか。
 ゆうれいのために、チョコミントをえらぶ。
 真夜中の、アイスクリームやさんで、いつもいるゆうれいのために、食べたくもないチョコミントのアイスをえらんでいる、ふたり。ゆうれいとわけあう、カップのチョコミントアイスクリーム。わけあえないのは、だれかひとりへの、信仰に近い愛。朝になる頃、迎えにくるのは、夜明けのバケモノ。夜を吸った、藍色の花をたずさえて。わたしの手の甲にキスをおとす。

 ハッピーバースデー。
 あたらしいわたし。
 はじめまして。
 あたらしいあなた。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-03

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