そこの角

そこの角

懐かしい風を追いかけて……


生まれ育った田舎町、
今は離れて暮らしてる。

たまたま用事で通り過ぎ、
懐かしい匂いの風がする。

お腹が空いてる訳じゃない、
そこで育った季節の匂い。

鼻垂れでも詰襟でも、
自転車でも車でも、
目線が低くても高くても。

いつでも同じ風の匂い、
何も変わらぬ風の匂い。

変わったのは自分自身、
同じ匂いに今を重ねて。

随分と成長したな?
随分と汚れたな?
随分と寂しく思う。

赤信号が語りかけ、
そこの角のたこ焼き屋。

ここにはもう、
その頃の匂いが無くなって。

あのおばちゃんも現れない、
ここは売地で更地の空き地。

あの頃はいつもお腹を空かしてた、
今は何も要らない欲しくない。

ここの角のたこ焼き屋、
その匂いだけもう一度……

懐古しながら故郷を去った、
懐古したいからまた来るよ!

そこの角

そこの角

あー誰にも故郷はある〜♪

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-02

Copyrighted
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