眠り姫

 罪。果てしなく深い空の、底のない、一生。おちてゆく。砂のうえで眠るのは。おひめさま。ライオンがみている。海は荒れ狂い、街には、夜の幕が下りて、あたしたちはわすれる。やさしいきもち。デバイスのなかでは、ひとが平然と、ひとをころしている。午前一時に、怪物と交わした、愛。目を覚まさない、おひめさま。ライオンはおとなしく、おひめさまの傍らに。寄り添い。もう、ぜんぶ、ハッピーエンドでいいのに、かんたんには幸福をあたえてくれないね。しらないところでつみあがっていく。なきがら。剥げたネイルカラーと、なくした片方のピアス。かならず、欠けていく。なにか。
 不完全なあたしを、怪物はうつくしいというけれど。

眠り姫

眠り姫

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-01-29

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