揺らいだ
ふう、ふう、あつあつのココアをさまそうと必死なのがだれか、たしかめなくたってわかる。なんで、じぶんがこんなふうなのかは、わからないけれど。
おにぎりがすき。おひるはいつも、決まったコンビニの、決まったおにぎり。うめと、塩むすび。食べながら、ああ、パンの包みを開ける音に、この耳は気づいてしまう。気づいてしまう、なんて、最低。無意識の意識が、そちらへずっと耳をそばだてている。かんたんなこと、それだけのことなのにな。このおにぎりの具を、味を、変えたらぼくは、どうなることやら。
まもっている。あの、ふう、ふう、がねこ舌をまもるように。ただ、今日もぼくであるって、たしかめるために。変えちゃいけないんだ。ぼくを、たしかめるために。
目の前で、ともだちが、スープをのんでる。その湯気と、きっとあの湯気とは、ぜんぜんちがう、かたちだ。それをたしかめることは、できないのだけれど。きっと。
揺らいだ