ほどき
あ
のかたちで凍った頬には
いつまでも霜が降りてこない
真夜中に聞いたタイヤチェーンを
異国の鈴の音と勘違いした
窓枠が鈍色にじわり滲んだのは
どこかに横たわる
鯨の骨が持つ熱のせいだ
道路脇にそびえた壁は
数ヶ月ばかりの地層になる
排気ガスとディーゼル車の轍と
すすけた空気が堆積した
雪の
地面も室外機も屋根も朝も隠された
そのあとは
だんだんと
ぬくい風が晒していく
元素記号の束、H2Oの抜けがら
マリンスノーみたいなぼたん雪
追いかけるここは、深海になる
ほどき
あ
のかたちで凍った頬には
いつまでも霜が降りてこない
真夜中に聞いたタイヤチェーンを
異国の鈴の音と勘違いした
窓枠が鈍色にじわり滲んだのは
どこかに横たわる
鯨の骨が持つ熱のせいだ
道路脇にそびえた壁は
数ヶ月ばかりの地層になる
排気ガスとディーゼル車の轍と
すすけた空気が堆積した
雪の
地面も室外機も屋根も朝も隠された
そのあとは
だんだんと
ぬくい風が晒していく
元素記号の束、H2Oの抜けがら
マリンスノーみたいなぼたん雪
追いかけるここは、深海になる
ほどき