衛星
まだ、逢えない。ずっと、みているだけ。相手のほうで、こちらをみているかは、わからないけれど。おなじ側面だけを、みせることしかできない。この道を、ただ、繰り返し、歩いている。夜も朝も過ぎて、また夜がきて、わけがわからなくなると、いつねむればいいのか、もう。
交わらない。そうなってはいけない。だって、ほら、壊れるから。そうなることだけが、圧倒的な、現実。霞んで、隠れたとき、ほう、息をついたけれど、肺に沈殿しすぎたものの重さを、知る。
あれ、これ、ぼくの話だったよな。あれ、だれの、話、なんだっけ。深呼吸して、わからなくなりすぎるまえに、そっと教科書を閉じた。
衛星