引っ越したら隣の人が〇〇だった。

 この前、僕は引っ越しをした。といっても、そんなに大それた家じゃなくて、本当に普通のマンション、でも隣にはコンビニもあって、立地も悪くない。夜中に部屋から見る夜景は、皿倉山を彷彿させるものがある。だけど、隣の人が〇〇だったんだ。
 その隣人はたしか男性だったと思う、いや、女性だったか、まあいい。とにかく、分からないことが多い。でも、その人が〇〇だっていうことだけは分かる。それは、例えばいつも灰色のジャンパーを羽織ってるとか、火曜日の朝は決まって朝5時に家を出てるとか、そんな陳腐なことじゃなくて、もっと大事なことな気がするんだ。
 僕は以前、その隣人と少し話したことがある。きっかけは朝に家を出るタイミングが同じってだけの、とくに面白味のない出来事からだった。
 その日の朝、僕が彼(性別がよく分からないので彼という代名詞を使うことにしよう)にエンカウントしたとき、僕が「おはようございます。」と言うと、彼は小さな声で「あぁ、どうも。」と、浅く会釈をしながら応答してきた。その顔は多分笑ってなかったと思う。続けて僕は「今日は雨が降りそうですね。」となんの根拠もない話を彼にした。すると、彼は少し間を置いてから「降ったら嫌ですね、雨も。」と言った。僕は彼の雨"も"という言い方が少し気になったが、その後はお互い特に何も話さずエレベーターで下まで降りて、何事もなかったかのように別々の方向に歩き始めた。
 その日以降僕は彼とは話していないし、会ってもいない。でも、僕は彼に興味を持つようになった。彼と仲良くなりたいとか、そういう明確な理由はないんだけど、でも、彼のことが気になり始めたんだ。

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 最近、耳を澄ますと、彼の部屋から生活音が聞こえて来る。「トントントン」、これは包丁でなにかを切っている音。きっと自炊をしてるんだろう。「シャーーーーッ」、これはシャワーの音、髪を洗っているのかな。「カタカタカタ」、これはキーボードの音、パソコンで何をしているんだろう。「ガラガラガラ」、いまシャッターを閉めたんだよね。
 彼の部屋からは、かすかにニルヴァーナの音楽が聞こえる。僕はその音楽を聴きながらカート・コバーンと一緒に歌う。そうすると僕が彼の部屋で歌っている気分になる。まるで僕の魂だけが隣の部屋に行ったみたいだ。そのうち彼が寝る時間になって、音楽が鳴り止むその時まで、僕の歌は終わらない。
 僕はいつまでこんなことを続けるんだろう。そう考えた時、出た答えは彼がいなくなるまでだった。あぁ、彼はやっぱり〇〇だったんだなって、そう思った。僕はカート・コバーンみたいに燃え尽きることなんてできないから、ゆっくり消えていこうか。

引っ越したら隣の人が〇〇だった。

知らん。

引っ越したら隣の人が〇〇だった。

友達に出してもらったお題から執筆しているので、内容は特に意味ないです

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更新日
登録日
2022-01-23

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