追想
こどもたち。ゆるしを乞う。かなしみだけがひろがる、シミのように。黒い斑の、星。宇宙から見たら、虫食い。
桜の木のしたには、きみがいて、春は、どうしようもなく、儚い。泡か、雪か。生命線をなぞる。夜。月の国の王子さまがみせてくれる、ひとつの有機体のおわりに。ピアノの音がひびいて。パーツがはずれるみたいに、ばらばらになっていく。街。
しらない。
しらないけれど、とおくの外国にある、深い密林に行ってみたいと思う。一日中、太陽が沈まないところにも。奇形な生きものが飾られている、博物館の、ヴェロキラプトルの骨格標本の前で一生をおえたいと祈ったことも、ある。図書室で、きみと寄り添って眺めた、鉱石図鑑。その、表紙の、ほこりをとりのぞいたあとの、吸いつくような質感。おもいだすたびに、泣けてくるのは。なぜ。
追想