追放のあと

雪水 雪技

追放のあと

追放のあと

鍵を忘れた
全ての鍵を
何処の扉も
開かずの間

追放された日
天から駆け降りて
草原を踏んだ時の
あの感触を覚えている

あの子の手を取って
駆け出した日
空は青くて
風は強くて
僕たちは笑った

追放されてから
僕らは幸せを創り出した
火を手に入れて安らいで
子供を抱いて夢を見ていた

子孫繁栄
増えていく
地に満ちてゆく

それから、
手に負えないこと、
争い事、まつりごと、
エントロピーの法則は
ここでも運動を続けている

星の巡りを見つめて
見えない明日を照らす
誰かの言葉が必要だった
生きていく為の答えが必要だった

占術は発展して
神話は血脈となる
そうして世界に巡る
僕らはもう干渉できない
再びこの世から離れていく

信じるものが世界を創った
何度も破壊して創造して
みんな疲れる頃には
新しい物語が流行って
人々は救われるために信じた

僕らは形を変えてこの世に来た
再びあの世に戻ることもあった

人の心は一人一人振り子のようで
それが億万を超えた頃には
見えざる手も介入出来ない
人の意識が世界を変えていく
色も形も善悪もなにもかもを
良し悪しをはかれない僕らは
ただ見守る他なくて

何度も壊れていって
何度も創られていって

いつかあの子と遊んだ砂場
つくりやすく、くずれやすく、
はかなくて、もろいけれども、
おもしろいもの

そういうものが、
この世に溢れている
たくさんの遊び場で
人々は回転している
そして繰り返している

宇宙と一緒になって
終わらない旅に飽きぬように
幻と戯れて、刹那の出会いに
心を躍らせて、巡ってゆく

追放のあと

追放のあと

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-01-15

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