短々落語「台風一過」

400文字以内のショートショート落語臭

「台風一過」

ご隠居(いんきょ)、いるかい

どうしたんだい、八つ(はっ　　)ぁん、びしょ濡れ(ぬ　)じゃないか

今、台風(たいふう)がお江戸(えど)直撃(ちょくげき)だろ、で鉄道が「ふつう」になるっていうもんだから、おいらてっきり「快速(かいそく)」が「普通(ふつう)」になると思ってね、土砂降(どしゃぶ)りの中わざわざ駅まで行ってみたら、なんてことはねぇ、全線運休(ぜんせんうんきゅう)してやがる、駅員に聞けば、ふつうってのは、交通が途絶(とだ)える方の不通(ふつう)っていうじゃないか、こっちとら大事な仕事を抱え(かか　　)てんだ、快速でなくても普通でゆっくりいけばいいやと思っていた矢先(やさき)、動いてねぇとくる、もう頭(あったま)来て、ジャロに言うぞっていったら、そいつ何て言ったと思う？

何て言ったんだい

ジャロって何じゃろ、だってよ。で、お前さん、ジャロ知らねぇのかい、日本広告審査機構(にほんこうこくしんさきこう)のことだよ、覚えときな、こん畜生(チクショー)って言ってやったよ

まぁまぁ八つぁん、そうむきにならないで、明日は、台風一過(たいふういっか)だよ

ご隠居、明日は台風の一家(いっか)かい

あぁ天気予報ではね

それじゃご隠居、明日は一体誰が来るんだい

お後がよろしいようで。