Sway

桐原 水刃

 ふと込み上げる寂寞の泉に、物悲しい風が吹く。煤けた侘しさと、銀杏の匂い。わずかに触れる、膜が震えた。そこには辺り一面の切り傷が枯れた木々や土に刻まれていて、透明になった誰かたちがまだそこにいるかのように影だけが彷徨っている。
 いつか誰かが叫んでいた遠い記憶のなかで、今もなお独りで叫んでいると、静けさに切り刻まれて大人しくなって、ずっとここで佇んでいる。
 いつも何故か悲しくて、何かが足りない。わたしの空っぽな胸の中で、秋が浮遊(リフレイン)する。

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-01-08

Copyrighted
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