ねむるところ

あおい はる

 ララのからだが、かえるころ。
 西の海は、さまざまないきものたちの、ねむるところとなった。宇宙、という、かぎられたひとしかみたことのない、広大な、際限のない、場所や空間と呼ぶには、あまりにも未知なそれのことを想ってみても、ぜんぜん、こわいことはない。なまえのわからない花を摘んで、もうしばらく目を覚ましていない、あの崩れかけた礼拝堂に棲まう怪物のかたわらにおく。ララのこいびとは、森といっしょに燃えた。ぼくとアルビノのくまは、ララのたましいが、どうか、こいびとのそばにいけますようにと祈りながら、西の海を眺めていた。さむいからと、ぼくに寄り添うアルビノのくまからは、深くて濃い緑のにおいがする。宇宙よりもこわいのは、たいせつなひとがいなくなること。ひとり。ふたり。いつかは、きみも。

ねむるところ

ねむるところ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-01-04

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