月輪

あおい はる

 よっつ、かぞえているあいだに、欠けるもの。青い鳥、天使、パステルピンクのリボン、やさしさの螺旋。だれかのために生きているひとへ、ふかふかのホットケーキを焼いてあげたいと思う夜。祈りクラブなる、あやしいクラブに所属していた、となりの家のおねえさんの顔は、忘れらんない。いつも、チェックのロングスカートをはいていた。夜の公園で、なかまたちと一緒に芝生に片膝をついて、祈ってた。近所のひとたちは無遠慮に、おねえさんとその家族をじろじろ見ては、気味が悪いと囁いていた。なんか、ちょうどその頃、町では、天使がみえる、というひとがいて、きっと、悩み苦しんでいるひとびとが救いを求めて、天使というまぼろしに縋っているのだと、天使がみえないひとたちは呆れかえっていた。つまりは、祈りクラブに、天使と、かれらは、得体の知れない、神秘的なちからに、たよりたいくらい生きることに疲弊しているのだと、そう言っていたのは、いまはもう美術館に飾られている、この世でいちばんうつくしい人類、ノエルだ。
 雲ひとつない空には、丸い月が。

月輪

月輪

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-01-03

Copyrighted
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