紅と白

 もうすぐだね。
 あなたたちは、どうかそのままのあなたたちで、いて。
 やさしい獣だけが、星にいることをゆるされる世界が、ぼくはすこしだけきらいだ。だれかのために歌うひとびとが、きらきらした光と、あたたかい愛をつたえようと、つむぐことばにひそむ、矛盾に、気づかないふりをして。それで、笑っていられるひとになりたい。
 しろくまがゆでてる、そばを、ふたりで食べる頃は、おわりと、はじまりのあいま。

 あいして、たいね。
 あいされて、たいね。
 たいせつにしたいし、されたいね。

 でも、なにはともあれ、きみがいれば、それでいいよと、ぼくは祈るように思いながら、キッチンに立つしろくまのせなかに、ひたいをおしあてた。

紅と白

紅と白

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-31

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