クリスマスイブの憂鬱

赫 カイリ

恋人がいる人は見ない方がいい
気づかない方がいい。

今日はクリスマスイブ。テレビはクリスマスイブだと捲し立てては、新人に着たくもない赤い服を着せる。それで視聴率を稼ぎ、評判を得れば今度はクリスマスケーキの宣伝をする。クリスマスの余韻も与えぬまま次はおせちの宣伝を始める。気が早すぎる気もする。なんとも腹立たしいものだ。

街は赤と緑で染まる。街灯には赤いフラッグが掲げられ、緑のテープが張られる。ハートの形のチョコにはバレンタイン用の型で作ったと悟られぬ用、目がいたくなるほどの色を塗りたくる。店から出れば、おそらくピンク色のオーラを出しているカップルと負の色を放つ人々。そのコントラストが本当のクリスマスカラーなんだろう。そんなことを考えながら歩く帰路。

カイリはというと、非常に悩んでいた。
勿論、今日は用事があったため、遊ぶなんて呑気な事を言ってはいられなかったのだが、明日は暇である。
どうしよう。
カイリには意中の相手がいる。数ヶ月前に知り合い、連絡はたまにする程度。何故だかわからないが心惹かれていた。そして出来ることならクリスマスはその人と一緒に居たかった。

しかしカイリには決断がつかなかった。本当にお誘いしても良いのだろうか?冷たくあしらうのはかわいそうだからと私に接しているのではないか?おそらくあと二年近くは接するであろうあの人にそんな行動とって良いのか?


……………

カイリは考え続けた。
そして最悪の結論へとたどり着いた。

"私は恋人が欲しいんじゃなくて本当のところ…
恋人ごっこに付き合ってくれる奴隷が欲しいんじゃないか?"と、


よく告白の言葉として
「付き合ってください。」
という言葉が使われるが本当は
(恋人ごっこに)付き合って(私の奴隷として存在し続けて)ください。
という意味だったのではないか。



我ながら最悪の結論へとたどり着いたと思う。
しかし心に焦燥はなくなっていた。
本来満ちることでなくなる焦燥がこんなことで無くなるとは皮肉なものだな…


こうしてクリスマスイブの長い夜が始まった。

クリスマスイブの憂鬱

クリスマスイブの憂鬱

#クリスマスに予定がない人と繋がりたい

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted