共 生

 のはらで。こぐまがひとつ、あくびをする。新人類の歌声がきこえて、わずかにみえてくる。終焉。街はいつでも、空想のなかで、ふくらみ、はじけて、色をこぼして、滴り、ひろがって、星にシミをつくる。わたしと、きみをつなぐものは、足枷、花のくさりで、永遠にふたりで、こぐまをまもっていくときめた夜に、はじめて体温をわかちあった。底無しのやさしさに、はまっていくわたしを、外側からみたときに、どうか、滑稽だと嗤わないでほしいと祈りながら、うとうとしているこぐまのせなかを、なであげる。ふかふか、と、ごわごわ、の、あいだみたいな触り心地で、きもちがいいのか、こぐまがちいさく、鳴く。はんぶんくらい、おわりかけている。星のうえで、新人類と、先人類が、ともに生きるなかで、種族がちがうもの同士の、性愛を、罰する神さまはたぶんもう、いないんだよ。きみが好きな、むかしの詩集に、つらなる言葉は呪いみたいな、愛。

共 生

共 生

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-20

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