『ひとりとひとり』

セブンスターとマルボロの煙を
口の中で混ぜ合わせた後
あの子への贈り物に悩む横顔


『ひとりとひとり』


そうね、人の心は
いつでも理にかなうわけじゃないから
惹かれる気持ちも仕方ない
悪いお酒って美味しいもの

そう、悪い夢なんだ
君の部屋に漂う彼女の残り香も
アタシは煙草の煙で誤魔化す
手持ち無沙汰で胸を揉まないでよ

その無神経とマメさは好き
アタシの中の空虚を
少しだけ埋めてくれるから
あとはもうちょっと黙ってて

天秤にかける程の情もなく
白ける嘘を君は言わない
アタシは未だ恋を知らぬまま
君のベッドで目を閉じる

クリスマスのあの子は今年も
新しい男と過ごすだろう
君はプレゼントだけ用意して
待てをされた犬みたいに

ここは確かに地獄だけど
今はまだ心地いいから
いつか抜け出せる日が来たら
君の顔も思い出せなくなる



「絶対叶う夢と絶対叶わない夢は等しく嫌い」

『ひとりとひとり』

『ひとりとひとり』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-18

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