東京
東京は鯨だ。
東京は鯨だ。人も建物も何もかも飲み込んでしまう鯨だ。
私は山手線に乗るたびに自分が東京に溶け込んでいくような感覚に襲われる。まるで自分という人間が消えてなくなってしまい「東京」という大きな生き物の一部になってしまうのだ。それが怖くてたまらないのだ。しかし私は東京が好きだ。なぜだか分からない、でも恋とはそういうものであろう。理由なんて考えるのは無粋で、ただただ好きなんだ。だから私は東京に恋しているのかもしれない。
東京には「個性的」な人は多いが、人混みを遠くから見たら誰が誰だか区別がつかないように皆同じに見えるのだ。そんな東京で埋もれずに唯一無二の存在になろうとして今日も私たちは必死に踠いて生きているのかもしれない。
東京