涙の道

いつの間にかこの道を
歩いていた
人通りは少なく
静かだった
いつも雨だ
不思議だが
冷たくない
傘をささず歩いた
平気だった

「涙の道」
老人は言った
「ここはそう呼ばれている」


強い風で
人々は
立ち止まった
風がやむと再び
歩きだす
真夜中には鐘の音が
響いていた
それを聞くと心が
落ち着いた

「涙の道」
老人は言った
「ここはそう呼ばれている」

涙の道

涙の道

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-14

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