アナザー・ライフ ~another・life~ Numberⅳ
another・life
アナザー・ライフ ~another・life~ Numberⅳ
『リアマ』
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『ねぇ。あんた、レイヤのこと助けたいんでしょ?』
声が、真っ白な頭の中に響き渡る。でも、この声は、どこかで聞いたことのある声だった。
――あ、当たり前じゃん!助けるためにきたんだもん。
その声に訴えかける。
『やっぱり。‘私’の思いは間違っていなかった・・・。・・・ようこそ、理亜。あんたを待っていたよ』
――待っていたって、どういうこと!?ねぇ!!ちょっと!返事をしてよ!
意識がはっきりとしてきた・・・。
∝
「・・・亜・・。理亜・・・!?」
「龍・・・?」
目の前に龍がいた。よかった。無事だったんだ。そっとうちは、胸を撫で下ろした。
「大丈夫か?」
「うん・・・ってココドコ?」
「あぁ・・。ここは・・・」
「『龍界』だ、そうだ」
「龍界・・・!?」
まさか。本当に来てしまうなんて。うちは、呆れてしまうことしか今は、出来なかった。
――そういえば、さっきから、いい匂いがするなぁ。何かの食べ物かな?
「美味しそうな匂いだなぁ・・・!」
「あぁ。そうだな!!」
「!?」
――き、聞かれていた・・・!!
理亜は、部屋の端っこにすぐ避難する。「まさか、聞かれているとは・・・」とぼそぼそ端っこでつぶやいている。
――は、恥ずかしい・・・!
理亜は、来て早々、「早く帰りたい・・・」と思った。
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リビング(といっても、リビングとは思えない広さ)に出てみると、
「お嬢様、おはようございます!今日も、いい天気ですねぇ~!」
と、朝食を準備しているギンが話しかけてきた。しかし思うのだが、「今日も」といっても、今日からなんだが。
「そういえば、龍はどこ?」
そういえば、と思い、一応ギンに聞いてみた。城の周りを慌しく移動してるギンなら、何か知っているのかも知れないと思った。
「あっ、リュウテン様なら、たしか、月の間にいらっしゃったような気がするのですが・・・」
やはり、ギンは知っていた。さすがだ。
「ありがとう、ギン。早速そこにいってみようと思う」
「いいえ!お嬢様のお役にたてて嬉しいです!!あ、後で紅茶、お持ちいたしますね!」
笑顔でこっちに返事をしてくれた。ありがたいことだ。
早速、龍がいるという、月の間へ行ってみた。
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――お、大きい・・・。
ズドーンと立ちふさがる、大きい扉。どのぐらいの大きさなのだろう。また、よく見てみると、紫の扉に、三日月のような月が描いてあった。
コンコン。
「し、失礼しま~す・・・・」
ギィッと扉の分厚い重い音が月の間に響き渡った。月の間の部屋には(部屋と言えないほど、大きな部屋だけど)二つの大きな窓があった。そこには、
白いカーテンが掛けられていた。
――あれ・・・?
一番奥のカーテンが風に煽られて、揺れていた。あまりよく見えないけれど、そこには人が立っているような気がした。
「・・・リアマ・・・か」
龍の声が聞こえた。だけど、龍は、うちのことは、『リアマ』とは呼ばない。『理亜』と呼ぶはずだ。
その男は、黒い髪に三つ編み、雪のように白い肌に真っ赤な目。その目の下には痣のようなものがあった。
「だ、誰!?」
咄嗟に、すぐに逃げられるような体制をとった。いつでも逃げられます、かかってこい。
「俺だよ。リュウテン。あれ?この姿お前に見せていなかったっけ」
「リュウテン!?」
――うそ、リュウテンって龍の前世だっけ?なんでここにいるのさ!
パニック。今の状況がよくわからなくて、頭がオーバーヒートする。
「おいおい、大丈夫か?」
リュウテンという男が手をとってくれた。どうやら、倒れ込んでいたんだ、と理亜は思う。
「まあ、俺がこのことを教えてやっからさ」
一瞬、リュウテンが龍に見えた気がした。
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「ドラゴンバースト?」
「ああ。こいつがその力に目覚めてくれたおかげで、今の俺がいるんだ」
リュウテンは、そう言ってニヤッと笑った。
「そうなんだ・・・、うちにもその能力があるのかな?」
「多分あると思うぜ。お前もここの奴だからな」
「だよね」
なぜか、その能力が不気味に思えた。前世のうちになる?馬鹿げた話だと思った。
それから、うちは、リュウテンに別れを告げ(といってもこの部屋から出ていくだけの話だが)『月の間』をあとにした。
『この力は、最初から悠然とあるわけじゃねぇ。あるきっかけで目覚めるんだ』
――あるきっかけ・・・か
リュウテンに言われて言葉がずっと頭の中をぐるぐると回っていた。洗脳されたかのように。
――うちにもこんな力あるのかな?
自分を意識してみた。何か感じる。体中が熱い・・・
なんてことはない。
やっぱり、『ドラゴンバースト』なんて起こるはずはない。
そんな自分にすごい力が眠っているわけがない。
理亜は、いつの間にか自分を責めていた。
そんな時。
長い廊下の奥から、聞いたことのある声が聞こえた。
「お嬢様!食事の準備が出来ましたよ!」
ギンだ。
ギンが食事だと伝えに来てくれた。ギンは、いつも笑顔を絶やさない。だから、そのおかげでこっちも何か、明るい何かがみなぎってくる。
「今行くよ」
うちは、少し静かな声でギンにそう言った。
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「・・・様。そのリアマを連れて来ればいいのですね?」
「そうだ。行ってこい」
「「ハッ」」
赤い夜空に真っ赤な月が映える。
「俺たちのものに・・・なるんだな、リアマ」
城にこの声が響き渡った。
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「あぁ、今夜はなにか起こりそうですね」
化け猫のレンが夜空を見上げてそう言った。親密な顔だ。なにか思うものがあるのだろう。
「何か?」
うちがそう言った。
「はい・・・。『満月の夜に赤い月が出ることは、何か事が起きる』と言われておりますからね」
「そうなんだ・・・」
確かに、真っ赤な月は少し不気味な感じがする。
「でも、大丈夫ですからね!私たちがいますから!!」
レンが自信満々の声と顔で答えてくれる。
――そうだよね。みんながいる。怖がることなんてない。
嬉しい。自信を持って、今の状況に立ち向かえる。
――ありがとう、みんな!
自信たっぷりの笑顔が作れる。これも、みんなのおかげ。本当に感謝できる。ありがとう。
嬉しい気分の中、理亜は眠りについた。
∝
『どう?ここの人たちは』
いきなり声が聞こえた。
――どこ!?どこから喋りかけているの!?
あたりをキョロキョロと見渡し、探してみる。しかし、自分の周りは真っ白な空間しかない。
『まあまあ。こんなに騒ぐなって。あんたに教えたいことがあって今日は、言いに来たんだ』
――言いたいこと?
『ああ。あんたのとこに黒龍軍が攻めてきているよ』
――!?なんで!?理由は!?
『さあ。私にもわからないよ』
――あと、何かわかる情報は!?
『助言はここまで。では、健闘をいのるよ、理亜』
――ちょっと!
理亜は、真っ白な空間に一人、残されていた。
∝
「よぉ。リアマ起きているか?」
「・・・うん、起きているけど。何、黎穏」
寝ぼけているからだろうか。黎穏の声がして、返事をしてしまった。
「起きてんのか。じゃあ、早くしたくをして行くぞ」
「え、どこへ行くの?」
うちには、どこにも行く場所がないはず、なのに。どうしたんだろう。
「今から、大事な話をするから言うぞ?」
「うん、いいよ」
「今、お前がいる、この炎龍軍は、実は、お前を殺そうとしている。わかるか?」
「えっ、ウソ・・・」
――そんな・・・、あんな・・・、みんながうちを・・・!
涙が出てきた。みんなが、裏切っていたことに悔しくて・・・。
「だから、そんなお前を助けたくて、ここに来た。黒龍軍へ逃げようぜ?」
黎穏がここまでうちのこと思ってくれるなんて・・・。
「・・・うん、行く」
うちは、真夜中、炎龍軍の城から逃げ出した。
アナザー・ライフ ~another・life~ Numberⅳ
お久しぶりです☆
さあさあ、始まりました!燐です(*゚▽゚*)←何も始まんねぇっての(怒)
前回と同様、少し長めーに書いてみました!
それと、今、カゲロウデイズとかのやつにはまっています!
大好きなキャラクターはセト、工ネ、シンタロー、カノです!!
これの小説も書いてみたいな・・・(´・ω・`)
まあ、このへんで!では、次回に乞うご期待!!