短々落語「優先席ならぬ特等席」
400文字以内のショートショート落語臭
「優先席ならぬ特等席」
おい、虎太郎、おめぇも見習えつーんだよ
何をだい?
見てみろ、あそこに座ってたお坊ちゃま、ご婦人に席をお譲りしたじぁねぇか
お父つぁん、それなら大丈夫
何が大丈夫だよ、虎太郎、おい虎太郎、聞いてんのか、漫画読んでねーで、お父つぁんに説明しろってんだよ
妊婦さんやご年配が前に立ったら席を譲るから。それにしてもサザエさんは面白いね、みてみて、マスオさんの腰掛がドンドンずれていくよ、お父つぁん、なぜだか分かるかい?前に座ってるのが、ミニスカートの女性だからだよ
(と、お腹の大きなご婦人と付添えの方が虎太郎の前に…)
どうぞ
あら僕ちゃん、有難う。でもお義母さんが座って
いいのよ、私は。それよりも、あなたよ、もう一人じゃないんだから
いえ、お義母さんこそ、腰が悪いんだから
(ねぇねぇお父つぁんお父つぁん)
(何だい)
(お父つぁんも席譲りなよ)
(今は勘弁してくれ)
(どうしてだい?)
(目の前に超絶ミニスカートが座ってやがる)
短々落語「優先席ならぬ特等席」
お後がよろしいようで。