無題
無題
花はその命を終える瞬間こそが最も美しいとある人は言う。なぜだろう。そんなことを考える。
花と僕らを分ける決定的なもの、それは自我ではないだろうか。
僕らには自我があり、自他を区別して生きている。一方で花は自らを「花である」と思っている気がする。僕らはかけがえのない個性を持った自分がかわいくて、死を恐れている。他の誰でもない「自分」だから。花は僕らとは違う。自らの死は「花」の死ではないから、恐れも不安も抱かない。
自然に身を任せたそんな安らかな死が美しさを放っているように思える。
無題