うすのろ

 藁人形引っ掴んですり抜けて 五寸釘親指に突き刺さった
 大嫌いなあの人の写真 燃やしたっきりの思い出
 夜中のからす どこ行くそこ行く鳴け鳴け嘴を開け

 亀だってもうちっとはマシだろうに ナメクジだってもうちっとはマシだろうに

 丑三つ過ぎても街灯り消えず 真っ暗空を見下ろして
 空っぽの頭トンカチかち割っても空っぽのまんま

 血垂れたところで地にも這えずに
 血止まったところで宙に飛べずに

 像だってもうちっとはマシだろうに 老いぼれだってもうちっとはマシだろうに

 丑三つ過ぎても街灯り消えず 消えず 消えず
 叩いても叩いても空っぽのまんま
 丑三つ過ぎても街灯り消えず 消えず 消えず
 叩いても叩いても空っぽのまんま

 夜中のからす どこ行くそこ行くおれも連れてけ
 大嫌いなあの人の写真 燃やせなかった思い出
 叩いても叩いても空っぽのまんま

うすのろ

うすのろ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-02

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