短々落語「似たもの夫婦(素直になれなくて)」
400文字以内のショートショート落語臭
「似たもの夫婦(素直になれなくて)」
お前さん、ちょいと聞いておくれ。此間ね、散歩してたら、長屋からこんな老夫婦の会話が聞こえてきたよ
妻「トイレかい?おしっこは座ってやっておくれよ、便座に飛沫が飛び散っていつもふき取るのは私なんだからね」
夫「男が小便を座ってできるか。ポチを見てみろ、片足あげてやっているじゃねぇか。わかってくれよ、これは男の特権だよ、でもね、いつも掃除してくれて本当に、蟻が十匹」
妻「ポチを出されちゃ仕方ないわ、どう東京北区の隣り」
なんだい、その「どう東京北区の隣り」っていうのは?えっ、何かい、北区の隣りは板橋区?
じゃぁ、何かい、どう東京北区の隣りは、どう板橋区、つまり「どういたしまして」ってことかい?あっそう、そうなの?
心を落ち着かせて纏めるよ、旦那の「蟻が十匹」が「ありがとう」で、嫁さんの「どう東京北区の隣り」が「どういたしまして」かい?
えっそうなの、2人とも似たもの夫婦だねぇ、もっと素直になれないもんかねぇ
短々落語「似たもの夫婦(素直になれなくて)」
お後がよろしいようで。