鎖の夢

藤月犀窩

拳を振り上げ、下ろすことなく大人になった少年
冷たい床 痛む顳顬
かつて殺された少年という名前の空洞
 あのトンネルは幽霊がいるって友だちが噂してた
名前のない仔がひとり暮らしているだけ
 呪われるらしい
もう呪われているのです
あなたを愛していますあなたがあなたを愛そうとしたようにあなたを愛すことがわたしです

:愛してくれさえすればいいのです
あなたがあなたを抱きしめたかったころのように
わたしを抱きしめればいいのに

振り下ろした拳が卵を割ることが
奪うのはどちらでしょうか

(お父様。)

空っぽの雛が生まれて、四則計算もできないぼくたちの昼を覆い尽くす空想をしている
少女は、足を折り曲げてしずかに眠っている
少女であることに気づけない夜に

鎖の夢

鎖の夢

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-11-26

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