夜を殺す
無関係
無関係な歌が流れて
色のない深夜零時
秒針すらスローモーションで
朝が欲しい
朝が欲しいと呟いて
本日未明 不安定な僕らは
長針の真似をする
息をして
またそれを吸い込んで
溜息と共に吐き出して
またそれを吸い込んだ
感染経路は夜の海
ひとりきり 霧は更かし気味
君は切り裂いた 音の闇を
劈いて 劈いて また密かに振り返って
「命の帰趨、僕たちは。」
過去と未来の思案の中で
深く息を吸い込む
酷く特異点で笑う
銀の刃が迫る空調
向けられた数多の狂刃
夜に殺される
このまま夜に呪い殺される
痛みだって教えて
その名前だけを教えて
意味なんて知らなくてもいいから
拍動だけが答えを知る
夜に殺される
殺される前に まだ出来てないこと
心から笑ってみたい
不完全さを知って笑ってみたい
焦点は頂天 夜の空
曙 雲さえ泣き始めて
君は辿り着いた 音の闇に
飲み込んで 飲み込んで 清濁併せ持つ転変と
「命への執着、その欠点を。」
繰り返す銀河の陰陽の中で
涙ごと刺し殺して
僕だけ刺し殺して
光ってたんだよ
ずっと
世界は海だった
広い海原の中心に 手紙を添えたよ
「 芽吹きますように 」
「 広がりますように 」
「 腐食のない世界に 」
「 色が付きますように 」
祈りに似た想いは
積み重ねた希望の残滓
僕らが呼吸を覚えたのは
魂魄ごと 受け継ぐ為だって
命の感染経路は夜の海
宵は声 軌道は中心点
君は切り裂いた 孤独の闇を
飲み込んで 飲み込んで 痛みを覚えた躯体を
「命の帰趨、その結末へ。」
僕らの目指した完全とは
「命の執着、その結末へ。」
僕らの目指した 完全な不完全とは
深く息を吸い込む
酷く無作法に笑う
されど夜は明ける
夜を綴じて
小林 凌
夜を殺す