刹那的なピュア
ああ、愛なんてものは、かたちのない、不確かなものとして、そこらじゅうにあって、確かな存在になったとき、はじめて、愛、と呼んでいい。
空中分解した。ばらばらになったので、なんだか軽くなった、からだを、彼は丁寧に撫でる。まるで、じぶんのからだのように。金平糖みたいな星屑を吐く、ちいさな生きものたちが、寄り添いあって眠っている。丸まって、ぎゅっとくっついて、ぜったいに離れないという意思をもって。団子みたいと、彼は云って、無駄を削ぎ落した、ぼくの肉体を愛でる。傷ついて、傷つけて、目には見えないケガを繰り返しながら、みんな生きていて、一ミリも傷つかない方法はおそらく、ないのだろうと思うと、ちょっとした絶望すら覚える。ぼくらはあと、いくつの傷をつくり、あたえられるのか。彼に触れられたところから、ぼくは、どろりと溶けてゆく。そのまま、彼の皮膚に纏わりつき、毛穴から吸収されてもいいと思っている。融合と、依存。
朝を迎える頃、ちいさな生きものたちの群れが、連鎖的に、ちいさなあくびをする。
ふあ
ふわあ
ふわわわわあ
またひとつの夜を、ふたりで越えたね。
ぼくは、彼にそう微笑んで、彼もまた静かに、穏やかな笑みを浮かべる。
どんなにかなしいことが起こっても、つらいできごとがあっても、雲の隙間から差し伸べるように現れる朝陽は、無条件にやさしい。
刹那的なピュア