屋根裏の人工知能【3】(マエマエ&シオン)

セシル

⚠これは第3話(最終回)です。
第1話⇒https://slib.net/108510
第2話⇒https://slib.net/108523

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🔸登場人物🔸
マエマエ(ごく普通の中学生。)
シオン(親友であり同居人)
謎の球体(人工知能らしい)
おじさん&2人組の男(修理屋)
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「あ~派手にやっちゃいましたね。」脚立の上で作業するおじさんがそう言った。

ここは前田家の屋根裏。なぜこんなとこにいるのか話すと長くならないので話そう。空から球体が降ってきたのである。それだけでも驚きだが、その球体はなんと人工知能だと自称するのだ。
 
やっぱりかとシオンは肩を落とす。まだ今月10日しかたってないのにもやし確定だ。
「まあまあ、気を落としなさんお嬢さん。すぐに俺らが直すかて。しばらくは夜月でも楽しんでもろうて」男性は笑いながら脚立から降りる。
「ところでお嬢さん、親御さんとかはいらっしゃるかな?修理代の話をしようかと思うんだがね」
「あっそれなら私に。今出かけてるんで」
おじさんはそうかとポケットからスマホを取り出し、目を細めながら操作する。
「そうですね、6万ぐらいでどうでしょか」
「6万もですか」シオンの声が屋根裏に響く。と同時に下の階でも悲鳴が聞こえる。おそらく同居人の前田麻絵(マエマエ)である。
「なんやんなんや」
おじさんも私の後に続いて下の階に降りる。彼女の部屋に行くと、作業服の男が二人とマエマエ、そして例の人工知能。
「だめ、これはあなた達のモノじゃない」
「いいから渡せ」
マエマエに迫る男たち。「マエマエ!」と私が部屋に入ろとするとおじさんが私の腕をつかむ。
「おい、丁寧に扱え。傷でもつけてみい、何言われるか分らんからな」
「えっ」私の頭は真っ白になる。おじさんは不敵な笑みを浮かべる。
「はやくそいつを回収しろ」おじさんは二人に指示する。抵抗するマエマエは意地でも離そうとしない。「マエマエ離して。危ないよ」
私の声は彼女に届かない。そしてついに彼女の手から球体が離れる。その勢いで彼女は壁に頭を打ち、床に倒れる。
「麻絵!」シオンはおじさんの手を振りほどき、彼女のもとに駆け寄る。気絶してるだけのようだ。
「行くぞ!」
男たちが逃げる。「おい、てめえら待てよ」シオンの低音が響く。その目は獣のようにするどく、殺気が漂う。ふらりと立ち上がるかと思うと、逃げる男の背後に攻寄る。
「おい」
男は凍るような視線を感じる。次の瞬間、どこからともなくメロディーが流れる。
はっと、シオンは我にもどる。さっきまでの殺気はなくなり、すとんと床に落ちる。その様子を見ていた男も思い出したように、駆け出し、家から出て行った。

マエマエが目覚めたのは夕方だった。
「夢ならいいのに」天井を見つめるマエマエは静かにそういった。
もう体は大丈夫?マエマエが顔を向けると、ベットのふちに座るシオンがいた。
「あの子なんだったんだろうね」
「さあ、でも只者じゃないみたいだったね」
ふうーとため息をつく。それで会話が終わった。

しばらくしてシオンは屋上にマエマエを誘った。今日は満月だ。
「雲がかかって見えないね」麻絵はシオンの方にブランケットをかける。
雲が少しずつ流れている。黒くて重い雲が。薄い雲の隙間から月光が見える。

「名前聞かなかったな」

「うん」

その時風が少し強くなる。すると雲が離れて、月が顔を見せる。「あっ出た」
シオンは立ち上げる。「ほんとだ。きれいい」

ぼーっとシオンが眺めていると、マエマエが天井のほうに手を伸ばす。月光の道筋をたどるように何かがこちらにやってくる。
それを静かに麻絵は受け止める。
「おかえり」
シオンは目を見開く。「お、おかえり」

人工知能の彼は帰ってきたのだ。ディスプレイ上に映る男の子は疲れている様子だ。
「・・・ただいま」

「もおーどこまで行ってたの。疲れたでしょ。」麻絵はやさしく頭をなでる。
「よしご飯にしよっか!」とシオンは言う。

すると「僕、やっぱり家に帰らなくちゃならなくて・・・ごめん」
「えっ、一緒にいようと」シオンは涙目でみつめる。
博士(ママ)が心配してるから。それに・・・」
シオンは動かない。

「そっか、また遊びにおいで」とマエマエは言った。うんと頷くと、また空中に浮かぶ。
「またねー」シオンも笑顔で言う。
男の子は二人の周りを一周すると、笑顔で手を振った。そして空へ高く飛んで行った。

「迷子にならないかな?」
「大丈夫だよ。今夜は満月だからね」

Fin

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差出人:不明

前田様

先日は私どもの研究室の人工知能でご迷惑をお掛けしました。
今後は二度とこのようなことがないよう、
再発防止に努める所存でございます。

今後とも、よろしくお願いいたします。
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屋根裏の人工知能【3】(マエマエ&シオン)

読んでくれてありがとう。他の作品もよろしく♪
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作者:セシル
作品名:【マエマエ&シオン】シリーズ
 『相手の夢を実況してみる。』https://slib.net/108415
 『神社で』https://slib.net/108416
 『物恋』https://slib.net/108418
 『表と裏』https://slib.net/108437
 『いつかの土砂降り』https://slib.net/108460
 『秋といえば』https://slib.net/108475
 『ゆく夏』https://slib.net/108485
 『22時の気まぐれラジオ』https://slib.net/108495
 『屋根裏の人工知能』【1】https://slib.net/108510
 『屋根裏の人工知能』【2】https://slib.net/108523
 *どこから読んでもOK
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屋根裏の人工知能【3】(マエマエ&シオン)

①二人の少女が屋根裏で見つけたものは意外なものだった。②屋根裏ストリートの最終回です😁

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-11-20

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