翔子の恋愛事情〜あなたの性格変えます

美咲恋

出逢い〜

「翔子の恋愛事情」

〜あなたの性格変えます

第1話  出逢い

三原翔子37歳。製薬会社勤続15年。彼女に営業課への移動が渡された。長年事務職として毎日、黙々と書類関係の整理をやっていた。彼女は命じられるままに、上司に抵抗する事もなく、ひとつ返事で承諾しなければ、リストラが待っている。彼女は口には出さないが、パワハラだ。いじめだと独り言を呟く。仕事が終わり、山手線に乗り込む。広告に目をやると、飛び込んできたのは。「あなたの性格変えます」翔子は大学を卒業してこの会社に入って来た。あまり目立たない性格で、就職活動もうまくいかず、最後に受けた会社でかろうじて事務職で入社した。部長とも15年間の付き合いである。部長がお茶を持って来いと言われると素直に持って来る。そして、お茶がまずいと言って、飲みもしないくせに、茶碗を投げやる。それを文句も言わずに拾い上げて片付けていた。そんな暗い性格に、同僚の女性達からも遠ざけられていた。暗い性格だ、退職したら、就職できるかわからない。翔子は体調が悪くなり、半年程。療養の為休暇を取った。遅すぎるが、今になって、自分を変えたい心境に襲われる。そして、リストラにあえば、もういい歳だ就職口はパートしかない。アパートに帰り着くと、即アポイントを取った。翔子は今すぐでも性格を変えたい。翌日、会社に伺う。やって来たのは、まだ、二十歳前後の若者である。翔子は不安になる。

相田哲郎25歳。日体大卒業。フジテレビバラエティ番組ディレクターとして3年間勤務。令和対昭和の世代の生活特集と言う番組の取材を担当して。思い付き、大学時代の野郎の友達3人と。慶応大学3年の鎌田涼子。曽根田陽菜。亜矢尻彩の6人で「あなたの性格を変えます」と言う会社を設立した。「いかがでしたか、気に入りました」三原翔子は舞い上がっていて、言葉が出てこない。哲郎は言葉を続けた。「あなたの性格を、変えます。プログラムには、3ヶ月コースと半年コースとあります。半年コースには、延長券は無料で提供します。どちらのコースを選びますか」翔子は3ヶ月コースを選択した。
哲郎「週に3日のコースです」翔子は鳥肌が立った状態で、2日目のコースは何ですかと尋ねた。
哲郎「明日は、あなたの飲んだコーラにそっと唇を近づけます」
翔子「聞いたような言葉ですね」
哲郎「1990年代に流行した河合奈保子のエスカレーションの歌詞です」
翔子「いきなりですか」
哲郎「30分は講義があります」
翔子「明日は講義だけでもいいですか」
哲郎「いいですよ。講師は慶応大学3年の鎌田涼子先生が担当します」
涼子「翔子さんは恋人いますか」
翔子「います」
涼子「身体の関係は」
翔子「まだ付き合って一週間ですから、ありません」
涼子「ご予定は」翔子はそこまで聞くかと少し腹を立てた。
涼子「これは。性格を変えるためのプログラムです。積極的にあなたからアプローチして下さい。ちなみに恋愛歴は」
翔子「ありません」
涼子「どこで出逢いましたか」
翔子「ナンパされました」
涼子「本気で頑張って下さい。少し休憩します」
涼子先生は、美人でスタイルがいい。哲郎は、慶応大学。美人コンテスト、ベスト3を揃えた。そして涼子はトップクラスである。翔子は、スタイルも良くない。涼子は鋭く突っ込んだ。
涼子「女性は、ウエストがキュッと閉まってないと、イケメン男性は来ませんよ」
翔子「もう、37ですよ」
涼子「自信を持ちましょう。13歳。年下のイケメンを狙いましょう」
翔子「今。付き合ってる人がいますから」
涼子「恋は数を、こなすほど女性は磨かれていきます。今の彼氏は捨てましょう」

第2話 始まり

翔子「せっかくナンパされたのにですか」
涼子「何言ってるんですか。そのおとなしく控えめなあなたに対してナンパしてきたんですよ」
翔子「私は性格を変えたい」
涼子「くずくずして。あなたはいくつですか」
翔子「初めてだったものでつい舞い上がってしまいました」
涼子「性格が変われば男を見る目も変わります」
翌日、会社へ出勤して来た翔子はいつもと変わらずにデスクに腰掛けてパソコンを開いた。一件のメッセージが飛び込んできた」
今日「今日。仕事が終わったら居酒屋憩いにいます。裕太」
翔子は自分の耳を疑った。勤続15年。同僚の男性から誘われるのは初めてであった。彼の席に目をやると、彼は手の指を上げて、OKの仕草を返した」
裕太は営業課のやり手で人気者。まだ独身の30歳である。裕太の社内での仕事の評判はいい。同じ会社でも部署が違いあまり喋ったこともない。それに比べて翔子はお昼休みは、毎日ひとりでお弁当をゆっくり食べて新聞を見る。同僚と会話することはなかった。居酒屋憩は地下鉄に乗り3つ目の駅で降りた所にある。翔子は8年前の裕太の歓迎会を思い出した。

翔子が居酒屋に入ると裕太は先に待っていた。翔子はこんばんわと言って。笑みを漏らした。
裕太「今日。誘ったわけわかります」
翔子は、首を横に振り「どうしてと尋ねた」
裕太「来週から翔子さん、営業課にきますよね」
翔子はまた。無言で今度は首を縦に振る。
裕太「昨日、明石香子さんに振られました」
翔子は、なんなんだこいつは、私を軽く見てるのか、振られたので、今晩、抱きたいなんて言うのかしら、とひとり妄想にしたる。
裕太「今。ムッときたでしょ」
翔子「はい」
裕太「そんな気もあるかもしれないけども、今晩は歓迎会です」
翔子「どうしてまた」
裕太「営業課では課長の指示で、移動によりやって来た。三原翔子には皆んな無視しろ。部長から自主退社に追い込むようにと指示されたそうな」
翔子は、おとなしいが。男げがある性格もあり、無性に腹が立ったが。涙が出て止まらなくなった。裕太「それじゃ乾杯しますか」
翔子は一気にビールを飲み干したが、裕太は3分の1程残っている 何を思ったのか、翔子は裕太の飲みかけのビールを奪い、一気に飲み干した。
「あなたの性格を変えます」
その時。相田哲郎の言った言葉が、天から聞こえてきたのであろうか。
哲郎「おおっ、実行しましたか。河合奈保子バージョン」
翔子は顔を赤らめながら返事をした。
哲郎「まだ実技をやってなかったですが、その行動力たたえます。それで、その後どうしましたか。
翔子「2度目のお誘いを受けました。裕太さんは意外な私の行動にびっしりしてました。私もびっくりしました。間接キスをいきなりだなんて」

翔子は、営業課の部長に腹が立った事を哲郎に告げた。
哲郎「臨時プログラムを提案します。営業課へ移動まであと1週間ですね。精神力をまず鍛えましょう」
翔子は、次々に手を打ってくる哲郎に好意を持ったのか、年下の彼に恋心を抱くのであった。
哲郎「これに着替えて下さい。剣道着です。着替えたら、外に出ましょう」
翔子は哲郎の言葉に、逆らう暇もなく段取りを進める。
マンションの一階に降りると公園になっていた。ベンチシートの横に人間の形をした箱が置いてある。
哲郎「竹刀を振りかざして、思いっきり顔を叩いて下さい。その丈夫な箱がめちゃくちゃになるまで、こっぱみじんにやっつけて下さい。部長だと思って」
翔子は30分間。打ち続けた。人間の形をした丈夫な箱の姿はなかった。
「明日は、別のプログラムを用意します。このプログラムは、1時間五千円になりますが、宜しいですか」
アパートへ帰り着くと、翔子はバタンと畳の上に転がり深い眠りに落ちた?
哲郎「本日のプログラムは潜在意識を高めます。会社の部長の写真は持ってきましたか。その写真を拡大コピーしてきますから、十分間。きついでしょうが、こん畜生と思いながら眺めていて下さい」
翔子「一番の曲者は50代の田尻保です。独身です。アルバイトは彼のパワハラ。セクハラで何人も首になったし、すぐバイトは辞めていきます。職安でもブラック企業と思います。あれだけ、評判が悪いが、身体は丈夫で健康です。ヘビースモーカーだから、そろそろ、棺桶が届く頃です」

哲郎「本日の授業の担当は、曽根田陽菜 慶応大学3年生です」
陽菜「私は。催眠術を使って。翔子様の潜在意識を高めます」
陽菜は霊感があるらしく、副業として占い師をやっている。主にタロット占いであった。陽菜「ハイ、目を閉じて」
次の瞬間に翔子は夢の中にいた。まるで、陽菜は夢の中の登場人物を操ってる様な感覚で。翔子の前に、部長の田尻保の血相を変えた顔がアップで迫ってきた。翔子の身体は。だんだんと溶けていき、魂になって空の彼方に飛んでいく。その瞬間、目が覚めた。陽菜「今から。あなたの潜在意識を高めます。ここに、わさびと唐辛子があります。皿の上にあるのを全部食べて下さい」翔子は、身体がかっかっかと燃えてきた。陽菜「ハイ、目をつぶって」翔子の夢の中にまた、部長の田尻保が登場した。翔子は、口の中から。炎を部長の顔をめがけて吐き出す。部長の顔はぐちゃぐちゃになり、爆発した。目が覚めた翔子は何かスカッとした気持ちになった。
哲郎と翔子は居酒屋に来ている。
哲郎「翔子さん。あれは、河合奈保子」
翔子「もう嫌ですよ、やりません。でも、少し性格が変わった気がします。だから、男性との出逢いもあったし、明るくなりました」
哲郎「今日。居酒屋に誘ったのは」
翔子「なんですか、それ、いいですよ」
哲郎は、翔子が、気になり始めていたが、衝動を抑えた。
哲郎「会社が潰れますよ」
翔子は。今夜は哲郎に身を湯だめてもいい気分になっていた。
翔子「今日は。営業課の青木裕太さんが、昼休みに隣の席に来てくれて一緒に食事をしました。
哲郎は。ピンときた。身体がムラムラと熱気を帯びてきた。これ以上はお酒を飲むのをやめた。そこへやって来たのは、亜矢尻彩である。彩は哲郎の肩を叩いた。哲郎の眉間にシワがよるのを感じた彩は、バシッときた。
彩「仕事ですよ。翔子さんはお客様ですよ。商品ですよ」そして。翔子もピンときた。彩と翔子の目の間に、電流が走る。
哲郎「赤マムシ5本」赤マムシは男性の精力剤である。
女性2人は、同時に同じ事を考えた。
哲郎「翔子さんに飲ませます。元気の元は男も女も一緒ですから。明日の為に気合を入れてもらいます」

第3話  再会

田尻保53歳。バツイチ。日体大卒業。製薬会社一筋勤続30年。アメフト部出身。
明石香子「部長。三原翔子。お休みです」
社員の視線が一斉に部長に集中した。
田尻部長「お前ら。文句あるのか」
部長はデスクの上にある熱いお茶を手に持ち一気に飲み干す。
田尻部長「香子。水持ってこい」
田尻は、翔子をお茶汲みで使うつもりでいた。あの性格だから。すぐに萎えるだろう」と言う思惑の成果を確かめるのを待っていたのだ。
明石香子43歳は、部長よりも気が強い。香子は若い青木裕太より部長が好みであった。
裕太「明石さん。この書類見といて」
香子は。昨日、振ってやった裕太が何気ない顔で命令してきたのが少しシャクにさわったが、お気に入りの彼には無言だ。
裕太「部長、これに、サインしといて下さい」
これもまた部長は裕太には頭が上がらない。裕太は慶応大学法学部卒業である。
翔子は、布団の中にいた。昨日の赤マムシ五本飲んだのが原因だ。目が覚めると、性格が変化した実感はなかった。講義を受けていた時には、今までの私じゃないと思っていた。のが嘘のようだ。
お昼になり。相田の教室へ向かう。
翔子「赤水君」
教室の階段の上に立っていたのは。翔子の高校の同級生。赤水浩介37歳であった。
赤水浩介37歳は相田哲郎と向かい合って座っている。相田は赤水浩介に簡単な自己紹介を注文した。
赤水浩介「5年前に会社でのノルマに追われ、気の弱い性格がたたり鬱病を発症しました。現在は障害就労支援センターで就職に向けてのプログラムをこなしてます。しかし、一般就労に行っても、進歩がないと思い。自分の性格を、変えようと思いました。哲郎「その通りです。就労支援とやらが、どんな訓練をするとこか存じませんが。一番大事なのは自分の性格を変える事です」浩介「私もそう思いました」哲郎「三原翔子さんとはお知り合いですか」浩介「高校の同級生です」

哲郎「それじゃ、いきなりですが、プログラムに入ります。お気に召しましたら、入会して下さい」そう言うと、隣の部屋にいる三原翔子を相田は呼んだ。
哲郎「赤水浩介さん。三原翔子さんは独身だし、あなたも独身です。ここで。あなたが好きだと告白して下さい」翔子も浩介も相田の発言に呆気に取られた。浩介は。もじもじ、もじもじ、煮えたぎらない動作が続く。翔子は、相田さんはいきなり、キスをしろとでも言いかねない気がして。びくっとした。哲郎「私が言う事を、重複して下さい。翔子さんの目と口をまっすぐ見てから」浩介は、汗がダクダクと落ちてくる。翔子と一緒で浩介も似た性格である。哲郎「三原翔子さん。私は翔子さんが好きです。結婚して下さい」浩介は重複した。哲郎「翔子さんも。私でいいですかと、感情を込めて、声に出して下さい」浩介は続いて、相田の声に重複した。哲郎「はい、いいです。そして、握手して下さい。今日のプログラムは終了です。明日。入会金を持っておいで下さい、入会を期待しています」
浩介は、高校時代に翔子に恋をしていた。二十年経って口に出して言えた事に、昔の言葉を思い出した。「人生の出逢いにはみんな意味があります」この出逢いは大切にしないとらいけないかなと、思い浮かべて、1人微笑んだ。

哲郎「翔子さん、今日のプログラムは、赤水浩介さんと駅まで一緒に帰って下さい。翔子さん、明日はちゃんと会社に行って下さいよ」
翔子と浩介は、駅までの15分を一緒に歩き始めた。すると浩介は言葉が自然に出てきた。
浩介「びっくりしました」
翔子は、昔は感情を込めて男性と会話した事ないのに今日は自然に笑みが溢れる。
翔子「好きですか」
浩介「高校生時代の翔子さんは知ってるし、好きです」
翔子「入会しますか、私は1ヶ月ほど経ちました。なんか、呆気に取られますが、効果ありですね。これ、私のLINEのIDです。、もしよろしければ」
翔子は積極的な自分が不思議だった。浩介も似たような気持ちだ。何か、魔法にでもかかったようである。浩介は自然に言葉が出てくる。2人は。食事をして帰る事にした。そして、それじゃ明日と、ここで、教室に通う前に待ち合わせをした。
翔子は青木裕太とも食事の約束をしている。本当に魔法かしらと。ひとり笑みをこぼした。そして、相田と交わした会話の数々を思い浮かべながら、布団の中に入った。明日は、移動した営業課への初出勤である。

 最終回  おめでとう

翔子はスカッした気分で。営業課の部署へやって来た。周りのみんなは、陽気な翔子にあっけにとられている。
裕太「翔子さん。今度の週末は暇」
翔子「私は、半年後に結婚します」
営業課のメンバーは、2度目のあっけにとられた。そして、裕太が、万歳をした。
そこへやって来た、部長も万歳をした。5年ぶりの寿退社を受理したのは部長だった。
翔子は、朝早くに電話のベルで目が覚めた。電話の主は赤水浩介である。少し、早く出勤してほしい。話したい事があるから、井の頭公園で待っている。翔子が公園に行くと、既に赤水浩介はやって来ていた。
浩介「結婚してくれる」
翔子はひとつ返事で、承諾した。
まだ、人影は少ない公園でふたりは、初めてのキスを交わした。翔子の頭の中には大学を卒業してからの嫌な記憶が走馬灯の様にスクリーンに流れて行く。キスはこのスクリーンの映像を何もかも消してくれた。
ここまで、読んでくれて有難うございました!

翔子の恋愛事情〜あなたの性格変えます

翔子の恋愛事情〜あなたの性格変えます

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-11-20

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