徳利のわらべ唄

徳利わらべ唄

漆黒の海だ。遠くに苫小牧港の灯りが見える。一郎はデッキに上がり冷たい海風に立っていた。一日前に有明港をサンフラワーに乗り北海道に児童劇団の公演取付のために乗船をしたのだ。
船は大きなエンジン音を轟かせ朝の開けない苫小牧港に接岸した。
色取りの艶やかなスキー客が降り始めた。
一郎のワゴン車は船倉の中で、順番まちだ。
苫小牧は明け方のせいかどんよりとした雪景色だ。
一郎は下船するとゆっくりと車を走らせた。道路はアイスバーンで青白い。スノータイヤを東京で履いてきたが不安だ。
札幌を先ず目指すのだか雪の
道路は路面が凍てついているのだ。
高速道路に入る前に入口の広場により、ブレーキテストを、試みた。アイスバーンの道でブレーキがどのくらい効くのかのテストだ。
やはりスノータイヤはブレーキかけても思った所には止まらない。
このテストの感触を身体に覚えさせる事が旅の安全を確保するのに
役に立つと思うからだった。
道路の両側は除去された雪で塀を造っていた。

徳利のわらべ唄

徳利のわらべ唄

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
更新日
登録日
2021-11-18

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