lost

 りりぃ、儚く、散る。かなしい。リアルワールドの、孤独をあぶりだすのは、SNS。チョコレートと、ストロベリーというくみあわせは、絶対的だと信じている、ひとにぎりの女の子たち。秒針の音が、鼓膜にこべりついている感じ。だれも救われないと思っている、この世界で、でも、どうか、あのひとだけには安寧をあたえてと、天帝様に対する、りりぃの祈りは、りりぃのからだごと、ついえた。本屋さんの、写真集めいた図鑑がおいてあるところで、ただじっと、クジラとイルカの写真をながめている。そのあいだに、どうか、無意識に抱えている罪を、すこしでも削ぎ落して。わたしの薬指にある指輪と、りりぃのしていたピアスを、海になげいれたら、あのひとは泣くかもしれないけれど。制服のリボン。期間限定の服従。ひとつの恋がおわるとき、空の星がなんだか妙にまぶしくみえるの。あたらしい朝のはじまりみたいで、ちょっと、ひるむ。

lost

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-11-16

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