リセット

あおい はる

 夜のうちに、はきだした。色でたとえるならば、黒の、感情。球体のなかの、星、てのひらでもてあそんで、ころがして、でも、かがやきは失われていない。わたしの声を、うつくしいとほめたひと、いまはもう、海の底で、いつの日かを待っている。わたしが、そこへ行く日。だれかにした、恋が、ひそやかに終焉をむかえた、朝に、おおかみがやさしいキスをした。
 あのひとがこんがり焼けたチーズトーストをかじりながら、ニュースを観ている。憂いている。いつも、ニュースを観ると、気が滅入るとぼやきながらも、義務付けられているみたいに、ニュースを観る。わたしはあたたかいカフェオレをのみながら、きょうも、世界は平和であってほしいと、うわべではそんなことを祈りながら、ほんとうのところは、おそらく、わたしをとりまく世界だけでも平和でありますようにとか思っている。星占いはしんじていない。ふたりとも。
 愛するひとは複数いてもいいけれど、一生を添い遂げるひとはたったひとりであることを推奨する、この街は、おそらく深部から腐りはじめていると、あのひとは言う。みえないところから、おわりははじまるものなのだと、なんだかこの世界の真実を知っているひとのように語る、あのひとは、毎朝、チーズトーストをたべている。コーヒーはブラックで、ヨーグルトには、はちみつ。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-11-14

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