純粋水晶

青津亮

幽かな 雨音にまじって
聖歌がどこかで きこえます。
ましろく澄んだ 硬きひかりを
くるしみに 曳き散らされている、
貴女に睡る 水晶よ…

どうか、おねがいがあるのです、
  ── 含まれてしまってはいけません、
     染まってしまってはいけません、
唯 そのままに
その眸 みじろぎもせず、遥かの青みへ
うでのばすこと さえもなく、
かの朝陽が射す場所で、佇んでいてくれますか。
  (それさながら、夢の鋼のような拒絶と抑制だろう、
   貴女という王国を統べるのは、唯純粋なる魂であるのだろう)
ああ 君よ、唯 かの水晶のなげる視線をはなさずに、
  ── 一途に紡いだ領域に、(そら)から降りそそぐ涙、いわく雨粒享けとめて、
     ひたむきに、銀に照らす光俟つ、ささやかな蜘蛛さながらに
貴女のままで いてくれますか…

さすれば いつや
夜の帳が降りてきて、ついに天の瞼あき、銀の月光射してきて、
仄かに青く、貴女の御姿濡らすでしょう、
  ── すれば 貴女は堕ちるでしょう、
     高く 貴く堕ちるでしょう。

純粋水晶

純粋水晶

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-11-12

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