水の人
不出来の人
なにも
なんにも
なあああんにも
「お願いします
沈めて下さい
一度
たった一度
嫌い
嫌いな僕を」
夢の下の下の下へ
ああ 帰らなきゃ
生きながら斃れる
「ほら ここに
天地無用って
僕はここに?
僕はどこに?」
僕のこきゅうは僕だけのもの
僕を利用したのは 僕だった
「とどまりたかっただけなのに
ここがどこでもどうでもいい
死に場所は選べなかったから
僕だけのあぶくをどうか頂戴」
なにも
なんにも
なあああんにも
犬も食わない約束を反故
挙句の果てに掬われたい
水の人