世界最強の男 ROUND 1
現役を退いてから二十年近い歳月が経った元プロボクサー・川津剛男「かわつたけお」は、今では昔の面影もなくメタボリックシンドロームとすぐに分かる変わり果てた姿に。過去に獲ったチャンピオンの名声も褪せ、今ではヒモ同然の生活へ。そんな彼に、予想も出来ない大きな事件が起こってしまう。「なぜこんなことが……」事態を把握出来ないまま逃走の旅へ。
ROUND 1
ピンポーン、ピンポーン……、え?
「御客様、何か金属を身に着けてはいないでしょうか?」
川津剛男は焦っていた。それは誰の眼にも明らかだった。直ぐには返答ができずに口をへの字にしてぷるぷると頬を痙攣させている表情にも、ジタバタとポケットを弄る仕草にも、恥ずかしいほどの狼狽振りである。
くそ! 何から何までどうなっているんだ、全くついてないぞ、ここまで来るのにどれだけ神経を張ってきたと思うんだ。考えれば俺がいったい何をしたって言うんだ、これ以上余計な問題はごめんだ! 奴もどこへ行ったのか分からないし、元はと言えば、奴に会わなけりゃ、こんなことにはならなかったんじゃないのか? どれだけ時間が掛かっても奴をあの部屋で待って、真相を訊き出すべきだったのかもしれない……嗚呼、今更後悔してみても仕方がない。それにしても、何で俺はこんな目に会っているんだ、俺が慎重さに欠けているからだって言うのか? またいい気になっていたからバチがあたったとでも言うのか? そんな、そんな、くそ、くそ……。
川津は奥歯を噛み締めた。いっそのこと強行手段に出てしまおうか? だが、ここで暴れたりしたら、今までの苦労が水の泡になってしまう。手荷物検査場などで自分を印象付けるような真似はしたくないのだ。
んんん、まずいな……非常にまずい! こんなところで足止めを食っている場合じゃないんだがな! あぁそうだ、俺の身体の中にはボルトが三本入っているから、それが金属探知機に反応してしまうのだ! チタン製のボルトが大腿骨に一本、背骨にも二本入っているのだから……まあ、これも歴戦の痕を物語っている証拠なのだから仕方がない。
いやいやいや、今はそんな呑気なことを言っている場合じゃないぞ! なんとか何事も無くここを切り抜けなければ……。
「今着けているベルトを取って、もう一度ゲートを通って頂けますか」
彼の「え?」と言う疑問符になんら反応することもなく、バインダーに挟んだ記録用紙にペンでチェックをしながら、係の女性は無表情にベルトに向かって手を向けると、外すように促した。
川津は困惑した表情を見せながらもバックルを掴んで、ベルトを引き抜いた。
なんて愛想の無い女なんだ! 解っているから早くしろと言わんばかりだなあ、まあいい、これで何事もなくゲートのチャイムが鳴らなければいいんだがな!
川津はベルトを取ってゲートを潜ってもチャイムが鳴ったとき、自分の身体に異変があると係りの女性が気が付き、騒ぎ立てるのではないかと不安に駆られた。
「……はい、どうぞ。御荷物の取り忘れのないように御願いします」
何事も無く、彼はゲートを通り抜けられた。外したベルトは、また別に控えていた係員から受け渡され、籠に入ったその他の手荷物も、彼の前に差し出された。
メタボリックシンドロームだとひと目で分かる、でっぷりとした腹と酒樽のような腰回り。その腹の肉を持ち上げながら、分厚い革のベルトをベルト通しに通していくが、これだけの動作で既に息も上がり気味だ。
腹の肉でその輝きは俯いて見え辛くなってはいるが、現役時代に作った特注製のベルトには、ボクシングのチャンピオンベルトを模したバックルが付いていた。
「レイジング・ブル・川津」そんな異名を与えられていた時期もあった。アマチュアボクシング界、ミドル級としては二十年に一人の逸材と言われた彼は、オリンピックで金メダルを二連覇した翌年、鳴り物入りで異種格闘技界へ華々しくデビューを飾った。
最初の二、三年の間は世間の格闘技ブームも手伝って人気も上がっていき、勢いに任せて躍進を続けていたのだが、ボクシング出身の彼は腰から下への攻撃には慣れていない弱点が、対戦相手に徐々に見抜かれていった。
キックボクシング出身の対戦相手に、ローキックへのガードが不慣れなところを突かれて下段の回し蹴りを貰い、左大腿骨を折られてしまう。そこから辛く厳しいリハビリ生活を余儀なくされるが、三年後、カムバック戦にまで漕ぎ着けることが出来た。
復帰、第一戦の対戦相手は、またキックボクシング出身の選手であったが、川津は、なぜか苦戦することもなく勝てたのだった。
三年のブランクと弱点の克服を疑った世間やマスコミは、この対戦に感心を向けていなかった為、予想外の復活劇に「あとだし」の称賛で川津を取り上げ始めた。
『レイジングブル・川津 奇跡の復活! 壮絶なる過酷な試練に耐え抜いた男!』などと言う特別番組などを設けられ、川津は時の人になった。
しかし、その復活劇の裏にはコーチ達の意図があったのだ。
「最近勢いに乗っている相手を用意した」と川津に嘘を吐き、実際は峠を越え出した世界ランキング外の選手を連れて来ていたのだった。当初、この対戦カードに世間は感心を向けていなかった為、川津には実情を知られずに済んだ。
つまりは川津もピークを越えつつある選手だった。これを引退への餞と取って貰いたかったのだった。
それを知らずに勝った川津は自信を取り戻し、周囲の人間の意図する方向とは逆に、次の対戦相手を要求した。
どこからか、その話しを聞きつけて来た強欲なプロモーターやテレビ関係者たちは、急いで対戦相手を探し始めた。川津完全復活! とは、客寄せパンダに送る言葉としては申し分ない褒め言葉だった。
そして、用意された相手は前歴があまり明かされてはいなかった猪野中という男だった。彼は博士号を持ち、レスリングでオリンピック代表にまでなった実力があるのだと言う噂だったが、それ以外の情報は誰も解らなかった。
無名の猪野中はまず、ボクシングジムに入部し、川津との対戦の為にトレーニングを積み始めた。
猪野中は川津と同じ千葉県の出身であった為に、世間では「同郷対決」などと囃し立てた。だが、川津の関係者達は解っていた。ただでさえ一度大きな怪我を負った選手が勝つ見込みが低い所へ持ってきて、ボクシング出身の川津は下からの攻撃があまりにも弱過ぎたのだ。
だが、川津は試合を断らなかった。積まれた金に目が眩んだ訳では無い。むしろ自分なら勝てると思い込んでいたのだった。
小さい頃は、大人と相撲をやっても勝てたもんだ! と後輩の練習生にも自慢をするが、実のところ、大人が手加減をしてくれていた事実に気が付かないまま大きくなってしまったような男なのだ。
しかし川津は根っからの努力家であった。当時の川津の熱心な姿は、周囲の人間を納得させるだけの気迫があった。練習にも下からの攻撃に対応する為に、自らの提案でレスリング出身のスパーリングパートナーを雇い、怪我を負った足への攻撃もかわせるようになり、万全の態勢で試合に臨んだのだった。
しかし、負けた。
猪野中が放ったジャーマン・スープレックスは、美しい弧を描いて川津をマットに後頭部から突き落とし、そのまま意識不明の状態で病院に運ばれ、翌週には車椅子に乗りながら引退会見を開いた。
そして今、彼の名前を知る者は居ない。
当時は試合会場から帰る車に乗り込むにもファンに囲まれて苦労したと言うのに。
実際、今日の彼の行動は、家から出て駅まで十分歩いて駅に到着して、券売機の前で財布から小銭を出すにも、もたもたしている自分の後ろで立っていた順番待ちのサラリーマンにも気付かれず、電車の中にいた話題に目敏い女子高生たちにも、途中で入ったトイレの中でも、誰も川津には気が付かなかった。
当然この空港にやってきたときでも、先程の保安検査場では尚のこと、彼を知っている者は居なかった。冷静な態度で川津にベルトを取るように指示した女性の検査員でも同じであった。ぱっと見た感じでも、川津より一回り以上は若いだろう。自分が活躍していた頃は小学生ぐらいだったか?
だが、川津は自分に今でもチャンピオンとしての知名度が健在だと勘違いして、こんなにそわそわしている訳ではないのだ。
川津は逃げている。恐らくはまだ世間の知らない事件から。
人を殺してしまった……、かもしれない。
誰とも視線を合わさないようにと、川津はハーフミラーのレンズが入ったレイバンのサングラスを手提げ鞄の中から取り出した。だいぶ古いせいなのか、蝶番は硬くなり、彼の太い指には埋もれてしまうツルを押し広げながら、脂ぎった顔面に装着するのだが、ツルの食い込んだこめかみが、痛々しいだけなのだ。
彼は動く歩道から一旦降りると、巨体を揺らしながら足早にトイレに入っていった。
出入りする人にもぶつからないように身を細めながら、洗面台の横を通り過ぎて、彼は空いている個室に滑り込んだ。
中に入ると、狭い駐車場でトラックが何度も切り返すように、体勢を変えながら蓋を上げると、苦しそうな呻き声を「うっ」と上げて身体を折り曲げながらズボンを下ろし、彼には小さ過ぎる便座に腰を下ろした。
額の汗を手の甲で拭うと、彼は大きく溜息を吐いた。
本当に俺がやったんだろうか……、俺じゃないならどうして、あんな死に方が……。
たしかにその死に方は、弁解を許さない。状況から言えば、川津が殺したとしか考えられないのだから。
ただ、彼の目の前で起こった出来事は、もし第三者の目撃があったならば、彼がその場から逃走してしまうと言う短絡的な判断へと押し流された理由も、納得できるのではないだろうか。
原田美津江。彼女は死ぬ運命にあった筈ではなかった。
それは川津も同じにそう思っていた。むしろ、彼女が死ぬなどとは想像すらした例もないし、ましてや自分が殺してしまうだなんて考えたことさえなかった。
殺意……。俺は心の底で彼女に殺意を向けていたんだろうか?
今までに言い争いをした程度のことなら何度かあったが、彼女には一度として手を上げたことはなかった。
『むしろ、我慢をしていたのは彼女の方だったんじゃなかったのか?』と言う彼の勘は、その点では当たっていた。美津江は川津と暮し始めてから十年以上、二人の生活を支えていたのだ。むしろ、養っていたと言ってもいい程であった。
「なんで私、あの時携帯の番号教えたんだろう?」
「なんでって、それは……好きだったからじゃないのか?」
「なに言ってんのよ、私が、あんたに夢中だったて言いたいの? 歳だって一回りは離れているんだし、いい気にならないでよ! 可哀相だったからよ、魔が差したんだわきっと、多分前の年にお父さんが死んでいたし、なんだか寂しかったのかもしれない……。返してちょうだいよ私の人生」
「だからこれからだって、これから変わるんだよ、俺がまたリングに立って稼ぐからさぁ、そしたらお前にだって楽させてやれるんだよ、それまでちょっとの間は我慢してくれよ、なあ、俺は凄い技を身に付けたんだよ!」
「あのねえ、鏡見たことあるの、みっともない。あんたその体型でなに寝惚けたこと言ってんのよ大丈夫? で、その凄い技ってもしかして……ああ、あいつね、またあいつのところに行ってたんでしょ? もう、お願いだから変な連中とは付き合わないでよ、私の名前だってあるんだからねぇ、やっとグルメ番組のレギュラー貰ったんだから、それで如何わしい宗教団体とか暴力団まがいの連中と関係があるだなんて同棲中のあんたが騒ぎを起こせば、私にも火の粉が飛んでくるじゃない、解ってんの?」
弛んだ腹を撫でながら川津はキッチンの端に立ち、もじもじとしている。困ったときはいつもそうだ。知り合いに金を騙し取られたときも、自分に向かってただ「すまない、裏切られた」と言って呆然と立ち竦んでいた。そのときの光景を思い出すと、美津江の苛立ちは、ぶり返されるのだった。
最近は、猪野中と言う男のところへ行っているらしい。調べる手間も無く川津のマネージャーから聞かされた。その男は昔、川津を引退へ追い込んだ元レスリング出身の選手で、今では格闘技を科学的な視点からとらえ、意識して運動をしている筋肉の動きから、無意識に働く脳の神経細胞に至るまでもを人間は自分の意志で制御出来ると言う論文まで発表している博士になっているらしく、その研究所に川津は度々通っているのだそうだ。
そこでなにを吹き込まれたのかは知らないが、彼は本気で現役復帰を考えているようだ。だとすれば、また大きな怪我を負われても困る。半身不随にでもなったらこれからの生活をどうすればいいのだ?
と、美津江は責める口調とは別なことで頭がいっぱいなのだった。独りで怪我人の看病と子育てなんて……。二ヶ月だと医者には言われた。
そんなにその博士が考えた技が凄いんだったら、こんな身重の女のパンチぐらい避けれる筈、と美津江は気付かれないように、より強い口調で叱責しながら、川津の顔に腕の長さが届く間合いまで近付いた。……あんたほんとうに解ってないのよ!
それが美津江の、この世に残した最期の言葉だった。
美津江が振りかぶった瞬間、川津は自分に殴り掛かってくる姿勢だとすぐに解った。だがそれも仕方が無い、こんな自分は彼女に平手の一撃も食らって当然な男だ。そう観念していた。身構えて、彼女の手が丁度自分の顔面を捉え易い位置に修正した。
ドン、という音は目の前に立つ女性の顔面から聞こえてきた。
美津江が自分で自分を殴った? 理解出来ない光景がスローモーションで流れていく。
体重を乗せた右フックが自分の顔面を捉えると覚悟した川津の予想ははずれ、自分の顔面に満身の力でパンチを叩き込んだ彼女は仰け反りながら倒れていく。眼は白目を向き、意識は飛んでいるのが分かる。
あ、と言って川津は手を伸ばしたが彼女の身体を掴めずに、空しく互いの手は泳いだ。
彼女は自身を殴りつけた勢いに任せ、後頭部をシンクの縁にぶつけると、首が直角に項垂れた状態で崩れ落ちていった。華奢な身体が両膝を無理に曲げた恰好で倒れている。枯れ枝が暴風に倒れ、風に飛ばされてきた布が細い幹に巻き付いているようだ。
川津は奇妙な姿勢で倒れている彼女に一瞬ぞっとして、刹那声が出なかった。
「み、み、みつえ! なんだ、こりゃ、なんなんだ、どうしたんだよ、なんで!」
膝から床に着くなり川津は叫んだ。彼女の両肩を掴んだが、まったく反応が無い。
今、俺が殴ったんだろうか? いや、いやそんな筈は無い。だとすればどうして、どうしてなんだ! 怒っているならなんで俺を殴らないんだ、困らせていたのは十分反省しているよ。だけどなんで、こんなことをするんだ!
一瞬頭に浮かんだ疑問が反芻し始めて、川津は我に返った……。
川津は彼女の身体を下から抱き抱えていたが、その手をゆっくり引き抜いた。抱えられていた美津江の頭の重心がずれた反動で、頭はゴトンといって床に着いた。
恐る恐る、川津は自分の拳を左右、交互に見比べた。これだけの勢いで人間が吹き飛ぶパンチを自分が素手で放っていれば、さすがにその痕跡が残っている筈。指を曲げても痛みは無い。記憶の断片にさえ彼女の顔面に拳を叩き込んだ映像は浮かんでこない。
悪寒が背筋を走った。これは彼女の死を掛けた復讐? 元プロボクサーの俺なら彼女を怒りに任せて殺したとしても、誰も彼女が仕組んだ嘘だとは思わない。
「美津江、そんなに俺を恨んでいたのか! なあ、答えろよ! みつえ、くそ、俺が、俺が馬鹿だから、なんで言ってくれなかったんだ、なんで……」
後悔と苛立ちが綯い交ぜに川津の胸を渦巻いた。
無駄だとは分かっていたが、もう一度彼女の反応を見た。瞳孔は開き、息もしていない。首筋の脈を確認してみたがやはり駄目だ。天を仰いだ。
部屋を見回すと、彼女の仕事の資料や、生前読んでいた本が山積みになって散乱している。彼女の仕事も軌道に乗り始めた矢先だったのかと、落ちぶれた自分が惨めに思った。
「仕事が増えてきてたんだなあ……、あ! 死ぬ気は無かったんだな、そうだ!」
理解は出来ないが、何か見えない力が彼女を自分自身で殴らせた? いやあ、俺が殺したって言う方が断然辻褄が合う。 嗚呼どうすればいいんだ。
川津は部屋中に付いているであろう自分の指紋を拭き始めた……が、拭き始めたところで、それが全く無駄だということが解った。誰の指紋も出ない所で、同棲をしている元プロボクサーの俺以外、誰が彼女を殺すんだ? 強盗、ストーカー、空き巣に入ってたまたま顔を見られて殺害しただなんて、誰も信じない。
逃げよう、それしかない。それも日本にいたら捕まるのも時間の問題だ。
だが、日本を離れる前に奴に会っておこう、奴なら何か解るかもしれない。
川津は家に有る総ての金を持ち出そうと、美津江の通帳やキャッシュカードを探した。
「最後までこんなんじゃ……、すまない」
美津江の亡骸に直視は出来なかったが、川津は深々と頭を下げた。
現金が五十万円とキャッシュカードが財布の中にあった。とりあえずはこれを持って銀行にいってみよう。あとは口座にどれだけ入っているかだが……。
振り向くとそこには以前、この世で一番大切だった人が無残に横たわっていた。このままでは去り難い。川津はその人に近づいた。見開いた眼は充血し、今にも自分に向かって叱り付けてきそうだ。叱られている内が花だな、と自分に皮肉を囁いた。
謝っても意味が無いとは解っているが、せめて布団の上に寝かせてやりたいと、クローゼットまで歩いていき、折れ戸を開けた……中には綺麗に畳まれた水色のベビー服とよだれかけが白い箱の上にそっと置かれてあった。箱はこれを買った入れ物だろう。誰にあげようとしたんだ?
ベビー服を横に除けると、一人分の布団を引き出し、部屋の真ん中に敷いた。二人分のベッドを部屋に置くには狭いからと、以前使っていた彼女のベッドは処分してからは、二人分の布団を彼女が風呂に入っている間に敷いて置くのが川津の日課だった。
川津は窮屈そうに横たわった美津江の膝を伸ばしてやると、丁寧に首と腰の下に手を滑り込ませ、そっと抱き上げた。布団の上まで運んでいくと、またゆっくりと下ろした。美津江の乱れた襟元やスカートの裾を直してやった。
川津は堪らず、鼻を啜り上げた。両手の掌で目を擦ると、拳で自分の膝を何度も叩き、声を上げて泣いた。
時を同じくして世界各地で、原因不明の交通事故、突然発作を起こし意識が無くなる人や、酷い場合は意識が無くなりそのまま亡くなってしまう人まで現れだした。皮膚が爛れ火傷を負ったような姿になり、発狂しながら絶滅する人、身体中から血が噴出して死ぬ人と、その他にも様々な怪現象が起こり始めた。
だが、それらの事件には、ある一つの繋がりがあった。
その繋がりに川津が大きく関わっている事実を彼自身知る由も無かった。川津は今や『時の人』になりつつあった。
世界最強の男 ROUND 1
「ROUND 2」はクリスマスぐらいには投稿をする予定です、お楽しみに!