ミュージカル
ミュージカルが新たな鼓動を始める時間に、リズムは増幅され共鳴し劇場は期待の熱気に蒸発する。
この世界で一期一会の人間の命懸けの歌が繰り広げられる頂きに、開始のファンファーレが流れた。
役者が全ての人生経験を、この貴重な時系列のたった一つの時空に表現する。
照明がまばゆく色を放ち新たな世紀を始めさせた。
時間の進み方が夢の空想にまどろむ事を許される。
手と足を無限の発想性を使い、見たことの無いジャンプで光速の風となっていく。
人間の筋肉が成せる身体美学の境地に、知性のフォトンが煌めきスピンオフする。
歌のまろやかなジェラシーに、男と女はうっとりと汗の雫を垂らし、熱サイクルを地球に循環させる。
天と地に一筋のライトが役者を照らし、真紅の衣装が頂上体験へと昇華する。
人間の知性が幾パターンもの関節の微細な動きを、合体分解し微分積分していく。
人間の皮膚から炎が放出し、宇宙の暗闇に超新星の爆発が連鎖反応で弾け飛んでいる。
素粒子のヒラエルギーが点滅し、人類創世記の生命が、宙にきらめき結び分解し反粒子を形成していく。
音楽に合わせて、男と女の肉体が絡み合いもつれほぐれ、生命の紀元へとタイムワープしていく。
左右にステップを軽やかに重力を忘れた動きで回転する、鍛えられた肉体美が織り成す熟成したロマン。
素粒子の無限のヒラエルギーを、ダンサーは巧みに表現し神と自問自答するに至る。
音の連なりに化学反応を起こし、分子と分子の結合と分解のノスタルジックな時間が流れた。
夢に期する者は天地に選ばれた華麗な天使となった。
人と人が抱き合い体をくねらせ、ダンスのボルテージが究極の原子時計の精緻さで設計されていく。
精密な原子の振り子が時間を作り出す人生劇場での生命遺伝子の森羅万象。
観客の様子を伺いながら、表現者の記憶が織り成す流麗な色彩のパレットで塗られていく。
劇場が一体となって創造作業の共同観察者となり、舞台に天使が降り立つ人間ルネッサンス。
劇の作者は観客の反応を見て、天体を初めて作り輝かせた神様の視点を得るのです。
舞台上で縦横無尽に輝く天体の色度をいじくり、芸の完成形へと導く作者の視点。
筋書きがクライマックスへと丁寧に描かれて、天使の羽根を掴む時の快感が走った。
この情熱の常軌に、巫女は神の子を舞台に呼び寄せたのです。
官能的なリズムに、知性の文字は丁寧に羅列されていく。
物凄い知性が総結集した発想性に、天が無限大のパワーを発生させる。
この世界の可能性を全て集結させた、ダイナミックなダンサーの舞いに頂上的光明が表現される。
劇場の熱気で感動をもたらし、右脳のヒラエルギーはダイナミックなジャンプをして、世界が燃えていくのです。
明るい救いの光の中で、男と女が昇天し燃えて超越して存在を起立させる。
天と地が一つになり、究極の舞台がクライマックスになっていく。
この世の表現的な命題が人智の完成点に集約していく。
作者はスタンディングオーベーション化した観客を見て、まさにキリストの血を見ることになるのでしょう。
夜が更けて救世主の誕生にふさわしい臨界的な光明の中で、宇宙のフォトンが生まれたのです。
この世で最初のミュージカルに満月が煌々と照り付けて新生な人間が誕生したのです。
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