つくつく

露華

十字架のように、水平に飛ぶのだとして、泪を湛えたつくつくの一羽は流れ星のように泪を零し、羽を動かし、懸命になって羽ばたくのでした。
溢れた涙が、あお色のように、夜と化学反応のようなもので、青白く、光が伸びてゆきます。
さうしてやがて夜のオーロラになりました。

オーロラを透かして、地上のつくつく達は、星空を眺め、みんなで羽を広げ、
重ね合わせ、諸行無常を歌いました。

みなさん、さようなら。
僕は何処へ渡っていかなくてはならない、そうつくつくは思います。

星空への憧憬は聖なるものです。しかし、それ以上に残酷かもしれません。ですが、そこに明白な理由なんてなくて、もしかしたらそこに透明になって燃えている星が、ただ美しいから、あるいは冷たいのがさびしくて暖を取りたかった。たったそれだけの理由で、この命がもう残り少ないのに僕は願いました。
お母さん、僕は生まれたときから病弱でした。心配かけてしまったね。なのに、最期の最期にわがままを許してね。ふいに、あつい涙が溢れ、視界が霞みました。安定せず、揺れてしまう飛行は、あるいは、何事にも、レールがないことが、もしかしたらぼくらの本質で、この漠然とした不安とは、もしかしたらずうと、苦しいのだけど、しかし、それでも、だからこそ彼は何処にも、行けるのだと予感して、うれしくて、さびしかったのです。
みんなと別れ、
いずれ墜落するしかなくても。いいえ、その時は大地こそ、わたくしの墓場です。
帰りはもう遠く、景色の地平に沈んでゆく夜の彼方に、かすんでいく涙の、あの何処へ、僕たちの故郷があることでしょう。
ふいに、つくつくはわ、っと泣き出しました。

つくつく

つくつく

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted