宇宙と花と幼い恋心へ

日曜

本当に欲しいものは何だっただろう
ピカピカ光るMDプレイヤーのオレンジ色
好きだったけどまぶしかった
触れたかった指はいつも遠くて
交わされた筆跡だけがわたしの思い出
美味しそうな字体だといつも思っていた
手紙を噛んでいたことをあなたは知らなくていいよ

四角いグルグルの奥、茶色いレンガの家
引きちぎったサンキャッチャーのようなネックレス
耳を寄せても聴こえない音量のドリカムと
目配せで教えてくれる「これが好きな曲なんだ」
ふたりで好きだったグミの味はずいぶん前になくなってしまったね

わたしたちの間には音と筆跡と色しかなかった
触れたいものには一度も触れずに終わった
声を殺して泣くあなたの横で
わたしは何本のバスを見送ったっけな
何でもわかる気がしていたけど
本当に欲しいものは何だったんだろう

きっともう存在さえしないあなたに
愛を持てることを教えてくれたあなたに

宇宙と花と幼い恋心へ

宇宙と花と幼い恋心へ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-14

Copyrighted
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