ある星のある日
見渡す限り雲ひとつない青空。
「あああああああああああああっっっっ!」
早朝、声を張り上げてストレスを発散する、といういかにも近所迷惑な日課を終え、青年は、会社への出勤前、鏡を見て赤く特徴的な髪を整える。
「よし、今日も張り切っていきますかあ」
独身で誰に聞かせるでもない独り言を青年はつぶやいた。
西暦20xx年。我が国は成長をとげ、宇宙にまで支配圏を広げていた。
だがそんなことは青年とは関係ない。彼は小さな商社の平社員。
通勤ラッシュの電車にも乗らず、空を眺めてゆっくり歩くこの出社時間は、彼にとって一番楽しみなことでもあった。
「この時間がいつまでも続けばなあ。」
会社の昼休み、彼は一人で弁当を食べる。だが今日は違った。
「よう、お前しけたモン食ってんな。」
同僚のひとりが彼に話しかける。
「え…あっ…はい」
青年がまごまごしているうちに、同僚は面白くなさそうに去っていった。
青年はぼんやりとしながら歩いていた。坂の向こうにはきれいな夕日が見える。
「今日、せっかく話しかけられたのにな…っわ!」
急に人とぶつかり、うろたえる。
「すっすみません…」
「ほら、行くぞー」
夫婦か…僕にはなあ…
ふと、空を見上げると、夕日…ではなく、もちろんUFOなんかでもない。
「ひっっ…ひいいいいいっっ!!!!!!!」
巨大な手だった。それは、彼をいとも簡単に捕まえ、持ち上げた。
青年は必死に暴れてそれを振りほどこうとしていたが、手遅れであった。
地球とある農家。
「暴れるなあ。コイツ。」
初老の老人が、一羽のニワトリを掴み上げていた。ニワトリはかなり暴れていたが、老人はそれでもニワトリを離さない。
「ごめんなあ。こんなことしたくないんだが、こっちも生きるのに必死でなあ。」
東京のある家庭
「お母さーん!唐揚げまだあ?」
「はいはい、もうできますよ!」
「やったあ!おいしそー!」
「はいじゃあみんな手を合わせて、」
「いただきます!」
ある星のある日