透泳

 わたしは溺れているのかしら。産まれたての赤子のようになって、透明な海を漂っている。人魚姫は足を得る代わりに声を失ったが、わたしは生を手放した。すべては陶酔することで、結晶化する空想を保つために。あるいは夢は夢のままで、心を閉ざしておくために。ふと見上げると、水面には日輪が根付くように降りつもり、天使が降誕した。

透泳

透泳

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-12

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