愛されるこども

繰る井莎鬼

美しいこどもは愛される
賢いこどもは愛される
優しいこどもは愛される

わたしはどれでもなかったのでした。

醜いわたしは愛されない
お馬鹿なわたしは愛されない
意地悪なわたしは愛されない

どんなわたしも愛される資格を持たなかったのです。

真っ赤な口から漏れる ママ の二文字
無視されるためだけに零れた ママ

ママはわたしを愛さない
だからわたしも愛さない
そうして守っていたこころの端っこから
溢れて止まらない「愛して」の涙は
きっと枯渇することなんてなくて
わたしをずっとずっと溺れさせる
泣かないでよ、とわたしはわたしを睨んで
睨んでるわたしもほんとうは泣いてるんだ

ママ ママ もう呼ぶことのない二文字

それが今は私を呼んでいる

ママ ママ 私はもうママだから

美しいこどもは愛されるけど
醜くっても私のこども
賢いこどもは愛されるけど
お馬鹿であっても私のこども
優しいこどもは愛されるけど
意地悪だとしても私のこども

八つの瞳が私を信じて止まない心苦しさを
喜びに変えることができたなら
私はわたしを愛せるだろうか
私を許さないわたしを抱きしめられるだろうか

私を愛するこどもたちを
手放しに愛してあげたいと願っている、いつだって
いつだって、私のかわいいこどもたちを
愛したくて仕方がないのに
私は未だに胸張って愛を叫べない
出来損ないのママだけど
それでも 私の持ってる限界を超えてもまだ
ぼろぼろの愛を彼等に どうか
どうか 届きますように
ごめんね じゃなくて ありがとう を
愛してるよ と 一緒に

愛されるこども

愛されるこども

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-10

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