それでも、秋

あおい はる

 海で。うまれた理由をもとめてる。午后八時。茫洋とした平和が、いつか、角砂糖がぽろぽろくずれるみたいに、すこしずつ欠けていくのか。手をつないでいたはずの、きみは、いまはもう、おかあさんの胎内に。
 孤独ごと、だきしめてくれればよかった。
 バグをおこしている、季節が、秋を鮮やかに撲殺して、依怙贔屓された夏が、にたにたと嗤ってる。やさしいきもちをけずられていく、感覚は、しんじていたものすべてに、裏切られたような、あの、どうしようもない陰鬱さを浮き彫りにするばかりだ。東の街が夜に沈む頃、西の都市に朝の気配が漂う。北の森に雪が降ったら、南の湖に星が落ちる。ぼくをあいしてくれるのは、みんなに忌み嫌われている、真夜中のバケモノだけだ。
 月が揺らめいて、海月がかおをだす。ぼくのあしもとに近寄ってくるから、思う。(あ)(きみかもしれない)

それでも、秋

それでも、秋

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-07

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