雪花

桐原 水刃

 あの朝までは息をしていたと、いまになって思い返す。それは絶えず滅び続ける災厄のゆめ。わたしは溺れていたのでしょう。やわらかさの中では脆く儚く傷つくだけで、ここでは雪解けは救いとはならず、開花は始まりを意味しない。わたしにとって忘れてしまった辺り一面の氷の世界には、あの頃の痛みと眼差しが閉じ込められたまま佇んでいる。

雪花

雪花

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-05

Copyrighted
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