まあちゃん


まあちゃんのぼうしが飛んでいった



春一番の風がびゅうと吹き

まあちゃんのぼうしはくるりくるりと飛んでいった





まあちゃんは追いかけなかった




ただただ風に乗って宙返りをするぼうしを眺めていた




コバルトブルーの空と、ぼうしの血のように赤いリボンが

残酷にも美しい境界線を生んでいた

まあちゃん

まあちゃん

まあちゃんとぼうし

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-29

Copyrighted
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