月糸

君はわたしのことが好きだよ。

列車で過ぎていくだけの町並みの 屋根に反射したひかりが眩し過ぎるだけの、愛。
子供のころの晴れた日、閉じた目蓋の裏がわの朱色が、いまも全身を流れているから
金糸雀色でゆうやけを描いて、永遠って名前をつける。それから、絵画を燃やしてしまう
わたしは空を知らない季節でいて、きみは季節を知らない花でいる、それ以上の約束はいりません。

金糸雀色の夕焼けを、黒くなるまで焼く


灰は、明けない夜になって、それもちいさく散り散りになる。ただそれだけで愛している。

月糸

月糸

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-21

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