廻る、廻る

 いろ褪せて溶けおちた空気からは、まだ目覚めたばかりの予感がする。よく目が見えない頃の淡色をかき混ぜて、人は生きている。なぜかは分からずに辿り着いて、よく分からないままに去るのだろう。そのようにしか生きられない人を突き動かすものはなんだろう。そして人知れず死んでいく。わたしたちの敵とは、わたしたち自身の意志の集合であり、今日も誰かに犠牲を強いることで曖昧な日常(しょくもつれんさ)が続いていく。うつくしくなんてないのに。

廻る、廻る

廻る、廻る

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted